プレミアリーグの時間BACK NUMBER
W杯で燃えたイングランドに秋風。
スペイン、スイス戦の厳しい現実。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byUniphoto press
posted2018/09/16 11:00
W杯得点王のケインだったが、ネーションズリーグ初戦のスペイン相手に苦戦した。
スイス戦は辛勝したものの……。
言い換えれば、同格以上との対戦での3連敗である。ネーションズリーグ2戦目でも戦うクロアチアとの間には、ベルギーやスペインほどの差はないと見られたが、ロシアでの前回対決では、延長戦を含む120分間で枠内シュート2本しか打たせてもらえなかった。その事実が、改めて指摘された。
スペインは、そんなクロアチア相手に大量6得点(6-0)を奪い大勝した。ロシアW杯でイングランドに引導を渡したときと同じくルカ・モドリッチ、イバン・ラキティッチ、イバン・ペリシッチらが先発したクロアチアを寄せつけなかった。
ネーションズリーグがなかった9月12日には、スイスとの親善試合で辛勝(1-0)するのが精一杯。特に前半は相手エースのジェルダン・シャキリが相変わらずの切れ味を見せる一方、ボール支配率が4割を下回るほどだった。
ラッシュフォードは好調だが。
スペイン戦に続いてゴールを決めたラッシュフォードの好調ぶりは光ったが、マンチェスター・ユナイテッドの20歳が2試合ともスタメンを飾ったこと自体が、現実の厳しさを示している。
怪我さえなければラヒーム・スターリングがセカンドトップを務め、ハリー・ケインとコンビを組んでいたに違いない。
スペイン戦のキックオフ前には、ケインがW杯得点王のトロフィーを受け取るセレモニーがあったが、ロシアの地で総得点12点の半数を稼いだエースへの依存度を下げるためにも、せめて「プレミアのレギュラー」と呼べるFWを相棒に起用したいところ。
だが、レスターのジェイミー・バーディーは31歳で代表引退を決意。サウスゲートにとってストライカーの選択肢は多くない。だからスイス戦でも、プレミアリーグ4試合を終えたマンUで先発1試合に止まっているラッシュフォードを起用したのだ。その相棒は、アーセナルでベンチを温め続けているダニー・ウェルベックだった。