球体とリズムBACK NUMBER
ギグス采配でウェールズ旋風を再び。
ベイル健在、有望株を次々と抜擢。
posted2018/09/17 11:00
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph by
Uniphoto Press
ドイツ対フランスの新旧世界覇者の対決は無得点ドローに終わり、ポルトガルはクリスティアーノ・ロナウド抜きでイタリアを下し、ルイス・エンリケ新監督が統率するスペインはイングランドとクロアチア(6-0の大勝!)に連勝して復活を大いに印象付けた。
9月3日から11日までの国際Aマッチウィークに、欧州ではネーションズリーグが開幕。トップレベルのリーグAでは、上記のようなゴールデンカードがいくつも組まれたが、興味深い対戦は下のカテゴリーにもあった。
そのひとつが、9月6日に開催されたウェールズとアイルランドによるセントジョージ海峡を隔てた隣国同士の一戦。特にホームチームのリーダーたちが華やかだ。
ギャレス・ベイルが最前線からチームを牽引し、ライアン・ギグスがベンチから指示を送る。それぞれの世代随一のウイングがピッチ内外で絶大な存在感を放っているのが、現在のウェールズだ。こんなにワクワクする代表チームは、あまりないと思う。
初采配で10代、20代前半を起用。
高揚感の理由は2人の存在だけではない。今年1月に就任したギグス監督は初采配の公式戦に、21歳のデイビッド・ブルックスや20歳のクリス・ミーファン、そしてこの時点で17歳だったイーサン・アンパドゥら、多くの若手を先発させた。
さらに後半には18歳のマット・スミス、19歳のタイラー・ロバーツが途中出場している。自身もマンチェスター・ユナイテッドとウェールズ代表において17歳でデビューした指揮官は、若者の力を信じているのだろう。人口約300万人とリソースが限られていることを差し引いても、大胆で前向きなチョイスと言える。
キックオフの笛が鳴ると同時に、1トップに入ったベイルが相手のボールホルダーに猛然と詰め寄り、この試合のトーンを決める。大エースが背中で語れば、仲間がついてこないわけはない。ハイテンションなウェールズは開始6分に早速先制する。