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大坂なおみの無垢さは最高の武器。
「セリーナと抱き合ったら子供に」 

text by

山口奈緒美

山口奈緒美Naomi Yamaguchi

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photograph byGetty Images

posted2018/09/10 17:00

大坂なおみの無垢さは最高の武器。「セリーナと抱き合ったら子供に」<Number Web> photograph by Getty Images

セリーナ・ウィリアムズの言動が世界中で物議を醸しているが、大坂なおみにとっての憧れであることは何ら変わりない。

ネットでも表彰台でもやさしくて。

 集中力を失ってはいけないところだった。この状況から耳をふさぎ、目を閉じたのだ。おかげで、大坂は大事なものを失わなかった。

「周りがすごくうるさかったし、私は背中を向けていたから、何が起こったのかわからなかった。だから私はこれからも大好きなセリーナしか覚えていないと思う。何も変わらない。ネットのところでも表彰台の上でも彼女は私にやさしくしてくれた」

 数日前、コーチのサーシャ・バインがメディアの要請に応えて異例の記者会見を開き、言っていたことを思い出す。

「なおみはどういうわけか、無邪気さを失っていない。そこが僕は一番好きなんだ。悲しいときは悲しみを表すし、楽しいときには楽しさを表す。偽りの感情がないんだ。嘘がない。ただ純粋で、むき身の感情があるだけだ。わかりやすいから、僕の仕事も楽だ。本当に楽しいよ。これまでの彼女との時間はすごく楽しく、すばらしい」

天性の純真無垢に対する畏怖。

 激情型、劇場型のセリーナのヒッティング・パートナーを8年も務めた人だ。セリーナはだからこそ強いことを知っている。

 そのバインコーチが、表彰式での大坂を見つめながら涙で頬を濡らしていた。これまでの道のりを振り返って、なおみの努力をいじらしく思って……そういう涙には見えなかった。天性の純真無垢に対する畏怖。そんな目だった。

 その才能は武器になるだろうか。少なくともたくさんの味方を得るだろう。女王然とした女王たち、強すぎる女たちの振る舞いに、私たちもちょっと疲れていたのかもしれない。そんなことすら感じさせる20歳の戴冠、世代交代の狼煙だった。

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