“ユース教授”のサッカージャーナルBACK NUMBER
「スポーツで子供達に夢を」って?
湘南・梅崎司が見つけた、その答え。
text by
安藤隆人Takahito Ando
photograph byTakahito Ando
posted2018/09/08 17:00
ベテランとはいえ、そのプレーの“キレ”は今も凄まじい。梅崎司は、湘南の地でしっかり未来を掴んだ。
湘南で活躍するために決めたこと。
そして迎えた2018シーズン。
梅崎は、あえて時間をかけてチームにフィットしようと考えていたという。
「俺の中で湘南に来た一番の理由というのは、仕掛けの部分、アグレッシブにゴールに向かって行く姿勢を、もう一度自分で確認すること、もっと表現していきたいということでした。
でも、それを出すためにだけにプレーすると、チームのためにならないし、仲間の信頼を得ることはできないんです。だから俺は、この考え方をこのチームで実現するための『プロセス』を、最初から決めていたんです。
まずはチーム全体に順応する。自分の周りの選手に受け入れてもらう。曹さんの理念・哲学をしっかりと理解し、チームとしての基本的な戦い方を理解する。
このプロセスをしっかりと踏んでいきながら、徐々に自分という人間をチームの中で表現していく。それこそ俺がやるべきこと、『プロセス』なのだと」
自分らしいプレーがしたいという思いを胸に秘めながらも、その思いを現実化するための土台作りを、梅崎は重視していたのだ。予想通り、彼のパフォーマンスは徐々に上昇曲線を描いていった。
リーグ戦で迎えた、運命の試合。
5月9日のルヴァンカップDグループ第5節。アウェーのヴィッセル神戸戦で移籍後初ゴールを挙げると、6月2日の同プレーオフステージ第1戦、ホームでのベガルタ仙台戦では2ゴールの活躍で準々決勝進出に貢献した。
そして8月31日のJ1第25節のV・ファーレン長崎戦は、彼の思いの原点を感じられた試合になった。