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ネイマールはパリが大好きだが……。
PSGファンが彼を嫌いな多くの理由。
text by
クリストフ・ラルシェChristophe Larcher
photograph byBarnard Papon
posted2018/08/29 17:00
パリ・サンジェルマンのサポーターたちは、彼のその増上慢ぶりが収まることを期待していたが……一向にその気配は無い。
サポーターまでも軽視するように……。
『インターネット・パリジャン』の編集長である24歳のニコラ・ボットマンもコトビと同意見である。
「メディアは彼のスター性を強調し過ぎた。それで本人も、他の選手たちより自分の方が上だと思い込んだし、サポーターを軽視するようになったんだ。
彼は常に騒ぎの中にいたがる。贅を尽くした誕生祝いがその典型だ。何をするにも派手で人目を引かなければ気が済まない。自分が注目される存在であることを、スポンサーにアピールするのが最大の関心事であるからだ。逆にファンへの関心はますます希薄になっているような気がする」
試合後の挨拶も、チアゴ・シウバが無理やりユニフォームの袖を引っ張って、スタンドの前まで連れていくシーンが幾度となく見られた。
他方で彼を讃えるチャントは、サポーターたちに最初のドリブルを披露する前から出来あがっていた。
「それから何かが壊れた」とニコラ・ボットマンは指摘する。
「ロナウジーニョの時代から年間シートを買い、PSGに情熱を注いできたファンとの間の何かが。彼とサポーターの関係は夫婦喧嘩のようだ。どちらも離婚を望んではいないが、自分からは決して歩み寄ろうとしない」
ファンとカバーニの気持ちを裏切った。
彼ら批判者たちが指摘するのが、移籍後最初のシーズンにして彼が引き起こした厄介事の数々である。
とりわけ2017年1月17日に生じた《ペナルティゲート》は強烈な印象を与えた。
ディジョンに8対0と大勝し、チームも観衆も幸福感に浸っているとき、ただひとりネイマールだけがうつむき加減でロッカールームに戻ってきたのだった。それはまるでファンから総スカンを喰らったアイドルのようでもあった。
この試合ではネイマールも4得点2アシストの大活躍だった。完璧となるはずの夜がにわかに反転したのは83分のことだった。
レフリーがPSGにPKを与え、スタジアムの一部からにわかにカバーニコールが起こった。
ズラタン・イブラヒモビッチの持つクラブの最多得点記録に並んでいたカバーニに、記録更新のチャンスを与えるようにサポーターが求めたのだが、ネイマールは自らボールをペナルティスポットに置くと、カバーニを一顧だにせず淡々とゴールを決めた。
試合を終えピッチを引き上げる彼の背中には、ファンから痛烈な罵声が浴びせられた。