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ネイマールはパリが大好きだが……。
PSGファンが彼を嫌いな多くの理由。
text by

クリストフ・ラルシェChristophe Larcher
photograph byBarnard Papon
posted2018/08/29 17:00

パリ・サンジェルマンのサポーターたちは、彼のその増上慢ぶりが収まることを期待していたが……一向にその気配は無い。
「ネイマールの加入がチームを不安定にした」
例えばインターネットのサイトである『カルチャーPSG』のフランソワ・デナはこう語っている。
「ネイマールの加入がチームを不安定にした。幾つかのポストが彼のために犠牲になった。移籍市場の状況を考えたとき、2億2200万ユーロもする選手の獲得は破格の出来事ではあるが、それがPSGにとって良かったのかどうか……」
1992年からPSGのファンで、今はクラブに特化したジャーナリストとして活動するデナは、ネイマールがもたらすネガティブな脅威を的確に指摘する。
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ネイマールはインスタグラムとツイッター、フェイスブックを合わせて2億人のフォロワーを持つ世界最大のスターのひとりである。それに対して、クラブとしての歴史が浅いPSGは、今でこそヨーロッパのビッグクラブのひとつに数えられるようになったが、10年前には2部落ちの危機に直面し、CL優勝を目標に掲げながらもこの7年間というものベスト8の壁さえ越えられず、レアル・マドリーのような成功を収めることに失敗し続けているのだ。
両者の間には大きなアンバランスがあり、そこからさまざまな問題が派生しているとデナは主張する。
「もうウンザリというのが正直な気持ち」
昨季のリーグ戦20試合に出場し19得点13アシストという数字は、「ファンを熱狂させる華麗な足技で」ダンスを踊るネイマールにとって決して満足できるものではない。
ポンドセーブル駅(レキップ社の地下鉄最寄り駅)のカフェテラスでそう語るのは、27歳になるミルー・コトビである。2012年に創設された『PSGコミュニティ』の管理人であるコトビも、ネイマールに厳しい視線を向ける。
「彼の報道に膨大なスペースが割かれるのはある意味当然のことだ。だが、これまでに伝えられた様々なエピソードについては、もうウンザリというのが正直な気持ちだ」
エディンソン・カバーニとの間に生じたいわゆる《ペナルティゲート》事件。
負傷して帰国したブラジルでの長い休暇。
2月5日の誕生日に市役所とシャンゼリゼ大通りに掲げられた祝福メッセージ。
――批判の対象は尽きなかった。
「PSGはネイマールというスターに完全に屈服した。今の現象は、クラブの弱さの露呈に他ならない。表面を取り繕っても仕方がない。ネイマールは実際にクラブより上位にあり、本人もそれをよく自覚している」