プレミアリーグの時間BACK NUMBER
リバプールはプレミアのロッキー?
クロップの決意はシティ独走阻止。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2018/08/17 10:30
ロシアW杯では不完全燃焼だったサラー(中央)、マネ(右)が開幕戦でゴール。今季もリバプールの攻撃力は健在だ。
8番を継承したケイタの存在感。
開幕戦での一方的な勝利は、アリソンに次ぐ高額の5275万ポンド(約76億円)で獲得された、ナビ・ケイタの存在が大きい。ジェラードがつけた8番を背負う新MFは、タフなタックルも得意。小柄だがダイナミックな中央突破もあれば、的確なパスワークも軽快なワンツーもある。3センターの一角にケイタを加えたリバプールは、看板の攻撃が迫力と円滑さを増した。
1年前の時点ではコウチーニョをリーダー格にロベルト・フィルミーノ、モハメド・サラー、サディオ・マネが揃ったカルテットを上回るのは難しいと思われたが、ケイタを獲得した今季の攻撃陣は、当時の“ファブ4”を凌ぐ攻撃力を生み出すかもしれない。
クロップは世界的に有名な地元出身の「4人組」にちなんだ異名を歓迎しない。その音楽的な好みを尊重して、ビートルズではなくローリング・ストーンズにたとえるなら、オリジナルメンバーだったブライアン・ジョーンズの穴埋めに、ミック・テイラーを新たなギタリストとして迎えた結果、創造性のピークが訪れることになったようなものだろうか。
ウェストハム戦での先制点は、自ら持ち上がってタイミング良くパスを通した、ケイタが切り開いたものだった。
サラーにも昨季再現の予感が。
そして左SBアンドリュー・ロバートソンのクロスに合わせたのはサラー。一気にワールドクラスの評価を勝ち取ったFWは、リバプールが誇る3トップの中で最も「昨季の再現なるか?」と興味が持たれている。
前線右サイドを定位置とするサラー。逆サイドのマネが2得点、中央のフィルミーノも1アシストを記録した開幕戦で、キックオフから20分足らずでネットを揺らしてみせた。
ゴール自体は至近距離で足を出すだけでいい、いわゆる「タップイン」。だが、単純なフィニッシュだったからこそ余計に、大活躍の再現を予感させるシーンでもあった。
サラーのゴール量産の秘訣は、貪欲にボックス内に顔を出す姿勢。開幕初戦からハットトリックの可能性があった事実は、今季も量産環境が整っていることを意味している。
ファビーニョというアンカーを獲得したことで、攻撃に関与する人数は昨季以上に増えている。ウェストハム戦がそうであったように、対戦相手の攻撃力によっては、これまでのように元来攻撃的なジョルジニオ・ワイナルドゥムを中盤の底に配したり、逆にジョーダン・ヘンダーソンをインサイドハーフとして使ったりするオプションも可能だ。