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「大井の帝王」的場文男の伝説。
愛され続け61歳で地方最多7152勝。
posted2018/08/16 11:20
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph by
Kyodo News
「大井の帝王」と呼ばれる名騎手が、半世紀近く主戦場としてきたホームグラウンドで、ついに「鉄人」を超えた――。
東京・大井競馬場に所属する的場文男が、8月12日、大井競馬第5レースを1番人気のシルヴェーヌで優勝。佐々木竹見が保持し、「不滅」と言われた地方競馬最多勝記録を17年ぶりに更新する7152勝目をマークした。
「お待たせして申し訳ありませんでした。ファンの方々、厩舎関係者、マスコミ関係者といったみなさんのおかげで日本一になれました。喜びと感謝の気持ちで一杯です」
ウイニングランの馬上から、そして、記録達成記念セレモニーの賞典台(お立ち台)からも、1万5000人ほどのファンに何度も頭を下げた。
1973年にデビューしてから45年。4万567戦目での記録更新だった。現在61歳。来月62歳になるレジェンドは、今も33年連続年間100勝以上、37年連続重賞勝利という驚異的な記録を更新中である。
中学生で父と上京し、大井へ。
的場は1956年9月7日、福岡県大川市で生まれた。父は馬を使った運送業をしており、家で馬を飼っていた時期もあった。的場は7人きょうだいの末っ子だった。すぐ上の兄は佐賀競馬場の騎手になり、事業に成功した父は競走馬を所有するようになっていた。
小さいときから競馬場に出入りしていた的場は、小学校低学年のころには騎手に憧れるようになっていた。初めて馬に乗ったのも小学生のとき。佐賀競馬場の走路で、こっそり乗ったこともあったという。
中学生のとき、騎手になる準備をするため父とともに上京し、大井の調教師、小暮嘉久に見いだされて弟子入りした。