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二刀流こそが大谷翔平のリズムだ。
打つと投げるの好循環が復活中。
posted2018/08/12 09:00
text by
四竈衛Mamoru Shikama
photograph by
AFLO
「投手か。野手か」
もはや、そんな論議や、その能力に疑問符を付ける必要もないだろう。
日本だけでなく、米国内からも注目を集め続けたメジャー1年目の大谷翔平が、あらためてその傑出した才能を発揮し始めた。
8月3日(日本時間4日)の敵地インディアンス戦では、2打席連続アーチを含む、自己新の4安打を放ち、日本人メジャーリーガーとして史上7人目となる、デビューイヤー2ケタ本塁打を記録した。大谷の底力からすれば、2ケタ本塁打で驚くべきではないかもしれない。ただ、通算180打数での到達は、2009年の松井秀喜(ヤンキース)を上回る最速記録となった。
打撃が停滞した時期には何が?
開幕以来、鮮烈デビューを飾った一方で、右肘内側側副靱帯(じんたい)損傷で離脱以来、人知れず、苦悩の日々が続いた。7月3日の復帰後、約1カ月間は打率2割と低迷した。3本塁打を放ちながらも通算65打数13安打。とりわけ、24三振とバットが空を切るシーンが頻出した。
自分の間合いで構えられず、他球団の執拗な内角攻めに腰を引き、バットが遠回りする傾向が顕著になり始めていた。極端な表現をすれば、体全体が固く動き、柔軟性を失うことで、大谷の最大の長所でもある大きなフォロースルーが、影を潜めているかのようだった。
プロの舞台でプレーする以上、ライバル球団の研究が進み、しのぎ合いが続くことは、米国も日本も変わらない。ただ、今回の大谷の場合、相手に適応する以前に、自らの状態を上げていくことが先決だったのではないだろうか。
日本ハム入団以来、大谷は栗山監督ら首脳陣、トレーニングスタッフらの助言を受けながら、投打二刀流でベストの調整を探り続け、現在の地位を築き上げてきた。エンゼルス移籍後も、日本ハム時代の調整法をベースに、絶えず慎重に慎重を重ね、二刀流を維持する策を最優先させた。