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愛のムチで“エース候補”が遂に。
本気の二木康太はロッテを救うか。

posted2018/08/12 08:00

 
愛のムチで“エース候補”が遂に。本気の二木康太はロッテを救うか。<Number Web> photograph by Kyodo News

'16、'17年と2シーズン連続で7勝を挙げた二木康太。井口資仁監督が期待する23歳はさらに成長を果たせるか。

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永田遼太郎

永田遼太郎Ryotaro Nagata

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Kyodo News

 二木康太には、3人の恩師と呼べる存在がいる。

 1人目は千葉ロッテマリーンズにドラフト6位入団した彼に対して3年間の育成計画を立て、一人前の投手にまで育てあげた小谷正勝氏。

 2人目は彼のプロ1年目から熱心な指導を行い、現在の投球フォームの礎を作った千葉ロッテ・川越英隆二軍投手コーチ。

 3人目は彼に一軍の先発ローテーションを任せ、初の規定投球回をクリアさせるなど、プロの一軍で戦う大きな自信を植えつけた落合英二氏。

 彼ら3人のいずれが欠けても、今の二木康太は存在しなかっただろうし、二木にとってもかけがえのない存在だったに違いない。

 その後、小谷と落合はチームを離れ、それぞれ別のチームで指導にあたっている。残る1人となった川越コーチは今春、二木が不振でファームに降格した時、淡々と、やや突き放す言い方で、こう漏らした。

「このオフ、彼は何もして来なかったんじゃないですか」と。

春先は自分を制限していたのでは。

 言葉だけ見ると誤解を生みかねないが、二木は以前のコラムでも書いているように、覚悟を持って、今季に臨んでいた。

 好調だった2017年の春季キャンプをイメージして、自主トレのメニューも作ったし、普段の練習でも気を抜く様子は見られなかった。彼は彼なりの答えを出し、次のステップへ向け、一歩を踏み出していたように思うのだ。

 しかし、川越コーチの目には、そんな二木の姿がやや物足りなく映った。

 その理由を彼はこう話す。

「春先は自分で制限をかけていたというか、たとえばランニングにしても、ピッチングにしても、本当はもっとできるのに、『自分はここまでで良いです』みたいな感じに見えました。自分で(可能性の)蓋をしてしまっていたように思えたんです。

 本来もっともっとやらなければいけないし、もっともっと良くなって行ける選手。体力面も技術面も伸びしろが全然あるし、将来、ロッテのエースになるくらいの素質があるという。だけど僕には、そこを目指していないように見えてしょうがなかったんです」

【次ページ】 川越コーチの二木に対する情熱。

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