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「サッカーは非人間的、機械的に」
トルシエが語ったロシアW杯前と後。 

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田村修一

田村修一Shuichi Tamura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2018/08/13 11:00

「サッカーは非人間的、機械的に」トルシエが語ったロシアW杯前と後。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

ロシアW杯でのVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の画面。この制度の導入により、二度と“神の手”は出現しなくなるだろう。

フランス優勝の原動力は技術面ではない。

「それはこの大会期間中に見いだされることとなった。選手たちは決して負けない力を持つグループを築いた。ポグバのようなリーダーのもとで。ポグバも大会を通じてグループの本物のリーダーになった。

 彼らはどの試合でも前に進むことを願い、個の力をすべてチームのために捧げた。そのメッセージは常にデシャンから発せられた。『われわれの力はコレクティブさであり、全員がひとつになることだ。全員で攻めて全員で守る。勝つのも負けるのも全員一緒だ』と。試合ごとにメッセージの重みは増し、連帯感も強まっていった。

 つまりフランスは、サッカー哲学の面からコレクティブに優れたプレーを実践したわけではないということだ。むしろ、チームの統一感や連帯感、勝利への意志、野心など、サッカーの技術というよりもっと精神的な面で驚くほどにコレクティブだったということだ。そうして、連帯してひとつになったことこそがフランス優勝の原動力だった。

 ムバッペもそのグループの力に守られたが、ネイマールは違った。彼はグループに守られなかった。ロナウドも違った。

 メンタル面でのコレクティブな力は、ブラジルもポルトガルもフランスのレベルには達しなかったからだ」

このW杯の象徴は「セットプレー」。

――最後の質問です。プレーの面ではこの大会は何も新しいものはありませんでしたか?

「セットプレーがこのワールドカップを象徴していた。セットプレーを語るのは技術的な動作を語ることであり、正確性と超論理性について語ることだ。

 今日ではどの国も万端に準備を整えて大会に臨む。技術や守備組織などに差はない。そんな状況で、違いを作り出せる唯一の技術的な動作がセットプレーだ。以前からセットプレーは重要だったが、この大会ではその比重がさらに高まった。

 フランスは、オーストラリア戦もペルー戦もベルギー戦もクロアチア戦も、セットプレーで状況を打開した。

 いかに相手のセットプレーに対処するか。次のステップとしてどうすれば相手にセットプレーを与えずに済むか。それができればサプライズも起こせるし試合にも勝てる。

 サッカーの進化に関して、このワールドカップから何か言えるとしたらそういうことだ」

――わかりました。メルシー、フィリップ。

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