セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
ミランをミラニスタの手に取り戻せ。
レオナルド復帰による再建の希望。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/08/08 11:00
1998年からミランでプレーしたレオナルドは、4シーズンで177試合に出場し、22ゴールを決めた。引退後、2009年からは監督も務めた。
チームに石油王はいないが。
レオナルドほどクラブの内部で多彩な経験を積んだミランOBはそういない。
選手としてはザッケローニ時代にスクデットを獲り、引退後はガッリアーニ元CEOの下で背広組として経験を積んだ。'09-'10年シーズンには監督としての喜怒哀楽も味わっている。
7年前にパリSGへ転職すると、アンチェロッティ監督(現ナポリ)招聘を皮切りにFWカバーニやMFチアゴ・モッタ、FWイブラヒモビッチらを次々にセリエAクラブから引き抜いて、CLの常連クラブに育て上げた。
ただし、復帰したミラノの古巣には石油王はいない。
「チーム強化はFFP規定をクリアしながら、が大前提だ。打ち上げ花火のようにバンバンバン! と派手な補強は期待しないでほしい」
人びとをあっと言わせる茶目っ気がレオナルドの真骨頂だろう。就任時の言葉とは裏腹に着任早々、レオナルドTDはビッグトレードに成功した。
レオナルドが説得すれば誰でも納得。
1年限りで古巣ユベントスへ戻りたがっていたDFボヌッチを放出し、代わりにセリエAで5季通算111ゴールを挙げているFWイグアインと次世代の大器DFカルダーラを絶対王者ユーベから獲得したのだ。
「レオとの直接面談で説得された。あっという間に移籍を決断させてくれたよ」(イグアイン)
人たらしの男レオナルドは甘いマスクとソフトな語り口で、どんな難題でも相手に納得させてしまう。
仇敵インテルによる今夏の積極補強を、指を咥えて見るしかできなかったミラニスタたちだが、2年前にセリエAシーズン最多得点記録を塗り替えた歴史的ストライカーの入団が正式に決まると、途端に活気づいた。