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ミランをミラニスタの手に取り戻せ。
レオナルド復帰による再建の希望。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/08/08 11:00
1998年からミランでプレーしたレオナルドは、4シーズンで177試合に出場し、22ゴールを決めた。引退後、2009年からは監督も務めた。
エリオット社は損な取引はしない。
昨年4月に李会長による買収が成立した後、彼を中心とする最高経営会議から信任されたファッソーネCEOとミラベッリSDは、夏の移籍市場で2億ユーロ以上の巨額をバラ撒いた。
これをFFP(ファイナンシャル・フェアプレー)規定への重大な違反と見なしたUEFAは、今年6月に今季のEL出場権を剥奪。その後、米国とロシアの大富豪たちがミラン買収を持ちかけるも李会長はなぜか拒絶し、エリオット社への恨み節を残して表舞台から消えた。
経営権をぶん取った、といえば聞こえは悪いが、金融界で幅を利かすエリオット社は資金運用のプロだ。損の出る商売はしない。
欧州カップ戦不出場処分撤回を勝ち取ったスポーツ仲裁裁判所への訴えでは、トップが替わり、再建のためにエリオット社が資金面で3~5年間のバックアップを確約したことが高く評価された。
新会長はベルルスコーニとも旧知の仲。
エリオット社の肝煎りで送り込まれ、新しくミラン会長に就いたパオロ・スカローニは、ロスチャイルド投資銀行の副会長を務める国際経済界の大物中の大物だ。
だが、まったくのサッカー門外漢というわけでもなく、ミラノから200kmしか離れていない北部ビチェンツァ出身の彼は、故郷のクラブの会長を務めていたこともある。UEFAカップ・ウイナーズ・カップ準決勝まで躍進した1998年当時の話だ。
かつての帝王ベルルスコーニとも旧知で、元々ミランの少数株主でもあったスカローニは、会長就任に際して「いちミラニスタとして本当に嬉しい」と語った。
先月21日、スカローニ以下経営のプロたち8人による最高経営会議が新たに発足。彼らは元々外様だったファッソーネCEOとミラベッリSDの2人を即時解任すると、クラブの風土を熟知するレオナルドを招き、現場の最高責任者たるTDとしてチーム編成を託したのだった。