フランス・フットボール通信BACK NUMBER
W杯中のフランス代表の日常生活。
メディア戦争、金、そして家族愛。
text by
フランソワ・ベルドネFrancois Verdenet
photograph byPierre Lahalle
posted2018/07/29 08:00
デシャン監督が綿密に隠していた練習風景。『フランス・フットボール』誌はあらゆる手段を使って、撮影を敢行した。
「金のためにロシアに来たわけじゃない」
それを選手ひとりあたりに割り出すと、ベスト8で18万3000ユーロ、4位だと24万7000ユーロ、3位は26万ユーロ、準優勝では30万ユーロ、優勝は41万7000ユーロである。
2年前のEURO2016準優勝のボーナス、ひとりあたり25万ユーロに比べても高額であるといえる。
さらにこれに肖像権収入等を得た協会からのボーナスが加わる。
その額は1試合当たり1万5000ユーロで、ベスト8に進んだ現在、選手はすでに25万8000ユーロを手にしたことになる。
優勝すればそれが52万2000ユーロとなる。
「でも金のためにロシアに来たわけじゃない」とサミュエル・ウムティティは言う。
「そんなの馬鹿げてる。この大会に出場するのは夢だったし、今は優勝したい気持ちでいっぱいだ。プレーする喜びもある」
多くの選手がウムティティと同じ思いを抱いている。キリアン・ムバッペはこの大会で得たボーナスを、奉仕活動に寄付することをすでに明らかにしている。
怪我で離脱した代表選手との友情。
クレールフォンテーンを今まさに発とうとしていた選手たちは、ある代表選手からの手紙に大いに勇気づけられていた。
5月に足首を負傷したローラン・コシェルニー(32歳)は直後に代表チームからの離脱を表明。彼にとってサッカー人生最後の機会となるであろうワールドカップ出場のチャンスを棒に振ったのだった。
だが彼は、ロシアへ向かった友人たちを忘れてはいなかった。
火曜日(6月26日)に彼は、電話で長いことスティーブ・マンダンダと話しあった。マンダンダもまた4年前のブラジルW杯開幕の数週間前に、怪我でコシェルニーと同じ思いを味わっていた。33歳にしてデンマーク戦でワールドカップ初先発出場を果たしたマンダンダを、コシェルニーは心から祝福した。