選手全員の家族がユニフォームを交換。

　6月10日以降貸し切りとなっていたホテルの169もの寝室が、家族のひとときのために充てられたのだった。

　広間のテーブルでは、家族によって多くのユニフォームが広げられていた。それぞれの家族は、お互いにそのレプリカ・ユニフォームを交換し合った。やがてその数は23枚に達し、帰国する彼らのスーツケースの中に詰め込まれた。

　翌朝、デシャンは起床時間を設けずに、家族がゆっくり朝を過ごせるよう取り計らった。

　だがそれも朝食まで。

　結局、選手たちが家族とリラックスできたのは15時間ほどだった。

　それ以上は不可能。次の対戦相手であるアルゼンチンが、手ぐすねを引いてフランスを待ち構えていたのだから……。