セリエA ダイレクト・レポートBACK NUMBER
アンチェロッティがナポリを変える。
ユーベのロナウドと師弟対決も。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/07/20 17:00
昨年9月にバイエルンを解任された後、去就が注目されていた。現役時代はMFとして、ローマとミランでスクデットを獲得している。
「結果より大事なものはない」
予想される基本布陣「4-2-3-1」には、右ウイングとして冬の市場で一度断られたイタリア代表FWベルディが満を持して加入。中盤にはベティスからMFファビアン・ルイスを獲った。ゴールマウスは次世代の有望株メレトと中堅カルネツィスで固める。
今夏の移籍市場は例年より早く8月17日で締め切られるが、“あの監督の指導を受けたい”とナポリ移籍に傾く者も出てくるだろう。残留組も新加入組も名将との新シーズンを待ちきれない。
10日からイタリア北部の高地で始まるプレシーズン・キャンプで彼らを待つアンチェロッティは、サッカーの賢者であり、何より勝者だ。
「試合には不確定要素や偶然があり、だからこそサッカーは世界中で愛されている」と述べながら、その上で名将は「結果より大事なものはない」と言い切る。
サッカー史上屈指の名将は、長く無頼の集団であったナポリに本物の勝者のメソッドをもたらそうとしているのだ。
教え子たちに力を見せつけられるか。
バカンス中はダンマリを決め込んでいたアンチェロッティは、キャンプイン前に自身HPを更新。キャンプ日程を伝える一文の中に「スクデットを勝ち獲るために」という一句を記すことで、シーズンの抱負を明らかにした。
数々のタイトルを手にしてきた名将アンチェロッティも、監督としてのセリエA優勝はミラン黄金時代の'03-'04年シーズンに獲った1度きりだ。「スクデット」が持つ重みは、イタリア人指導者の1人としてよく理解している。
タイトル獲得に向けた最大の障壁になるであろう7連覇王者ユーベに、レアル時代の愛弟子ロナウドの加入が現実のものとなったいま、ナポリとのカードは今季もセリエA最大のハイライトになるだろう。
加えて、アンチェロッティがセリエAに復帰したことで、やはり可愛い教え子だったガットゥーゾ率いる古巣ミランやインザーギが新監督に就任したボローニャとの師弟対決も実現するのだ。今季のセリエAが面白くならないはずがない。
イタリア半島は盛夏を迎えた。今週からセリエAのクラブは続々とキャンプインする。W杯にイタリア代表が出なかったことで落ち着いていたサッカー熱も、ここから開幕まで上昇一途だろう。