“Mr.ドラフト”の野球日記BACK NUMBER
プロ野球界に大量世代交代の兆し……。
清宮を筆頭に恐るべき若手が成長中!
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byKyodo News
posted2018/07/18 11:00
フレッシュオールスターゲームでの全イースタンチーム、豪華すぎる面々。左端から村上宗隆、安田尚憲、金子一輝、清宮幸太郎、大河、松原聖弥、岩見雅紀。
150km台のピッチャーが大量に現れた!!
投手陣に目を移すと、今年は150km超えが多かった。
台風のため中止となった2015年を除く過去3大会('14、'16、'17年)を調べると、150km超えは'14年1人、'16年3人、'17年5人だった。
それが今大会では8人が大台をクリアしている。
先陣をきったのは全イの先発、種市篤暉(ロッテ)の最速153km。
過日、四国アイランドリーグplus選抜との交流戦(対戦相手は日本ハム、ロッテのファーム)で同じくロッテの岩下大輝が149kmを再三計測し、「岩下は速くなりましたね」とロッテの広報に聞くと、その人は「うちの若手は今速いピッチャーが多いですよ。最近の試合で岩下と種市(篤暉)が150kmを超えました」と話してくれた。
2回には塹江敦哉(広島)が153km、5回には高橋昂也(広島)が151km、6回にはロッテ広報の言葉を裏づける151kmを岩下が計測し、7回表にはK-鈴木(オリックス)が153kmの速球を見せてくれた。
その裏には一軍戦での活躍がめざましい西村天裕(日本ハム)が152km、8回には長井良太(広島)が154km、9回には望月惇志(阪神)が圧巻の最速155kmで全イの清宮、安田、岩見雅紀(楽天)を抑え込んだ(清宮の次の村上宗隆は遊撃エラー)。
彼らのピッチングを見て思ったのは、ロッテをはじめ広島、阪神でじきに投手陣の新旧交代が起こるだろうということ。
セ・リーグの広島では、塹江、高橋昂、長井だけでなく一軍で活躍するアドゥワ誠がいる。阪神は望月に全ウの先発として全イを三者凡退に仕留めた馬場皐輔や小野泰己、才木浩人が控えている。
パ・リーグのロッテでは、種市、岩下に社会人出身の新人左腕、山本大貴、永野将司が近い将来、一軍のマウンドを踏んでいるだろう。
ほとんどの球団が、投打ともに世代交代の時期へ。
さらに、フレッシュ球宴のMVPを獲得した中日の石垣雅海にはバックスクリーンに飛び込むホームランを放った長打力があり、西武の金子一輝には俊足と好守が。そして、優秀選手賞に輝いている周東佑京(ソフトバンク)には、3回裏に二塁打を放ったとき、二塁ベース手前でスピードを落としたにもかかわらず二塁到達7.47秒を記録するという圧倒的な走力があった。
こうして思いつくなりに何人か選手名を挙げてみたが……ほとんどの球団から次代を背負うだろう逸材の名前がまだまだ出てくる感がある。
この1試合だけでも、現在が球界の新旧交代期だということがよくわかるのではないだろうか。
ファームから有望な若手を一軍に輩出できる球団が上に行けるというのは現在のプロ野球の常識である。スカウトが有望なアマチュア球児を獲得し、これを理想的な環境の中で一流選手に育て上げ、この循環に乗り切れない球団が脱落していく。