酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
オールスターと縁がなかった名選手。
1400安打男や134勝投手が実は……。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2018/07/17 07:00
オールスター初出場でいきなりホームランを放った栗山巧。パ・リーグのベンチも球団の垣根を越えて大喜びだった。
長嶋茂雄はずっとファン投票1位だった。
野村克也は「ONがひまわりならば、俺は夜に咲く月見草」と言ったが、この月見草は最多の21回も球宴で咲いていたのだ。
昭和の昔、オールスターのファン投票は「はがき」だった。スポーツ品店などに専用はがきも置いてあったが、官製はがきでも応募できた。昔は好きな選手を1人だけ書いて投票することができたが、'70年代に入ると、セ・パ両リーグの18のポジションをすべて埋めなければならなくなった。
'70年代の野球ファンはテレビ観戦が中心だ。巨人を中心としたセの選手はテレビで見たことがあっても、パの試合なんて見たこともないし、選手も知らない。だけど、18人を埋めなければならない。え、パの捕手? そりゃ野村克也だろう。という感じで、長らく選ばれ続けてきた印象だ。パの投手の鈴木啓示や米田哲也も似たような印象だ。
これもある種の「ブランド」だと言えよう。
本当にすごいのは長嶋茂雄だ。なにしろデビューの1958年から引退する1974年まで、すべてファン投票1位で選ばれていた(1964年は負傷欠場)。
オールスターに縁がない名選手の特徴は?
もちろん、当時から監督推薦があったから、選に漏れた好成績を上げた選手は選ばれていたのだが、よくよく調べてみると、実力があるのにオールスターに縁がなかった選手が散見される。
そういう選手の特徴を書き出すとこんな感じになるだろうか。
1.印象が地味
2.同時期の同じポジションに有名選手がいる
3.そこそこの成績は上げるが、傑出した成績ではない
4.スロースターターである
5.レギュラーだった期間が比較的短い
4の補足説明をすると、オールスターのファン投票は6月に行われる。この時期までに好成績を上げていないと選出されない。2016年の宮崎敏郎(DeNA)、2017年の山川穂高(西武)はいずれもシーズン後半から活躍をしたためにその年は選出されず。今年は前半戦から活躍し、晴れて選ばれた。とはいえ毎年スロースターターの選手は選出されにくい傾向にある。