酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
オールスターと縁がなかった名選手。
1400安打男や134勝投手が実は……。
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKyodo News
posted2018/07/17 07:00
オールスター初出場でいきなりホームランを放った栗山巧。パ・リーグのベンチも球団の垣根を越えて大喜びだった。
選手寿命が短いセットアッパーの悲哀。
クローザーよりも歴史が浅いセットアッパーは、今ではペナントレースの行方を左右する重要なポジションだ。中日の浅尾拓也は2011年にセットアッパーで初めてMVPを受賞したが、現在に至るも、全体的には評価が低いままと言えそうだ。
ただセットアッパーは酷使が続くため、野手や先発投手に比べても選手寿命が短いことが多い。それだけに、選出の機会を逸することも多い。
オールスター・ゲームに一度も選出されない有力選手は、確かな実力、技術を有し、職場では信頼を集めながら、ついに出世せずに終わった中間管理職のようだ。そぞろ悲哀が漂うが、彼ら自身は自分の役どころでしっかり仕事をしたという自負を持っているのではないか。
もちろん、そういう「中間管理職選手」が1人でも多く球宴に出場してほしいとは思うが、たとえ出場できなくても、我々野球ファンは「球宴に縁がなかった名選手」をしっかり見ているぞ、とエールを送りたい。