ロシアW杯PRESSBACK NUMBER
イングランド4強、陰の立役者たち。
セットプレーと女性カウンセラー。
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2018/07/14 09:00
クロアチアの驚異的な走力に屈したが、若きイングランドにとってロシアW杯は成功だったと言えよう。
問題はセンターバックと左SB。
中盤には、アレックス・オクスレイド・チェンバレンが帰ってくる。彼も負傷のためにW杯を棒に振ったが、サイドも中央もこなす汎用性と天性の爆発力は誰もが認めるところ。サウスゲイト監督も、もともとは主力のひとりと考えていた。
問題は守備陣である。ジョーダン・ピックフォード、ジャック・バトランド、ニック・ポープが激しくしのぎをけずるGK陣に不足はないものの、DF陣は中央と左サイドの層が薄い。ジョン・ストーンズ、カイル・ウォーカー、ハリー・マグワイアに次ぐタレントが見当たらない。ギャリー・ケーヒルは選手生活の晩年を迎えている。
フィル・ジョーンズはつなげない。トレント・アレクサンダー・アーノルドは4バックの右サイドが適性で、同じリバプールならジョー・ゴメスの方が3バックの対応力は上かもしれない。ただし、所属クラブで定位置を確保できるだろうか。
キーラン・トリッピアー、オクスレイド・チェンバレン、ウォーカーで対応できる右に比べると、左は非力だ。本来このポジションに居座るべきルーク・ショーは、いつまで経っても体が緩い。英国メディアが期待するライアン・セセニョンはまだ17歳だ。
W杯終了後もアシュリー・ヤングに頼るのか、ダニー・ローズの完全復活を待つのか。ファビアン・デルフは負傷が多く、戦力として計算しづらい。代表歴を持つ、アーロン・クレスウェル、ライアン・バートランドも含め左サイドは人材が多いわりに決定打を欠く。
「セットプレーだけ」と言わせておけ。
老練なクロアチアに準決勝で敗れたとはいえ、イングランドはよく闘った。
黒歴史を塗り替えた。
「セットプレーしかない」「形だけの3バック」「たいしたことない」との批判も聞こえてくるが、言いたい連中には言わせておけばいい。
高さという強みがある限り、セットプレーの精度を磨くのは当然だ。3バックを導入して3、4カ月しか経っていないのだから、多少ギクシャクしても致し方ない。
大したことないチームはベスト4に進出できない。何よりこの表現はリスペクトを著しく欠いている。