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「まだ走れます!」とクロアチア。
3戦連続の延長戦を制して決勝へ。 

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杉山孝

杉山孝Takashi Sugiyama

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photograph byGetty Images

posted2018/07/12 11:25

「まだ走れます!」とクロアチア。3戦連続の延長戦を制して決勝へ。<Number Web> photograph by Getty Images

クロアチア初の決勝進出を喜ぶモドリッチ。今大会の出場時間は6試合604分となった。

理論を超えた力と走りを見せたクロアチア。

 しかし、ただのヤカンの水がラガーマンをよみがえらせるように、スポーツには理論を超える不思議な力がある。2戦連続のPK戦に心身とも疲弊していたはずが、勘所を心得た動きで上回ったのはクロアチアだった。

 スコアはイーブンなのに、追いつかれたショックが大きかったのか、ヤング・スリーライオンズは余裕を失っていた。

 この流れでは、クロアチアにゴールが生まれたのは必然とも言える。ウォーカーの高く上がったクリアボールに走り込み、マリオ・マンジュキッチの決勝点をアシストしたのは、決して足を止めることのなかったペリシッチだった。

「大丈夫です。まだ走れます」と言った選手たち。

 W杯の舞台に立つような選手は全員、相当な努力と犠牲を積み重ねているはずだ。だが、クロアチアの選手たちは踏んできた修羅場の数が違った。

 選手全員がピカピカのプレミアリーグでプレーしている若きエリートたちは、最後まで諦めないタフな戦士たちを前に、最後は力負けした。

「選手たちは自分たちの力とスタミナ、エネルギーのレベルを見事に示した。選手の入れ替えをしたかったが、誰も控えを望まなかった。全員が『大丈夫です。まだ走れます』と言い続けたんだ」

 ズラトコ・ダリッチ監督は20年前、初出場の1998年W杯のときは1サポーターとしてフランスに向かったという。そんな指揮官に肩を抱かれたモドリッチは、涙を隠すように手で顔を覆っていた。

 W杯史上初となる1大会3度の延長戦を乗り越えたクロアチアは、20年前に収めた3位という成績を超えることが確定した。とはいえ彼らは、熱い戦いという色褪せない“歴史”を、すでに残している。

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