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ウルグアイが誇る最強2トップ。
スアレス&カバーニの奇跡と結末。 

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吉田治良

吉田治良Jiro Yoshida

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photograph byGetty Images

posted2018/07/09 11:20

ウルグアイが誇る最強2トップ。スアレス&カバーニの奇跡と結末。<Number Web> photograph by Getty Images

同い年のストライカー2人がともにワールドクラス。スアレスとカバーニの2トップに、ウルグアイの奥深さを感じる。

ここぞのチェイシングは素晴らしい。

 走行距離のデータを見ると、スアレスはいつも1kmくらいカバーニより少ない。ただ、スアレスの名誉のために言っておくと、彼のここぞという場面でのチェイシングは、今大会でも実に効果的にハマっていた。

 チーターのように、短距離のダッシュで確実に獲物を仕留める。実際、試合中のスプリント回数では大抵、カバーニを上回っていた。

 キャラクターの違いがそんな風評を呼ぶのか、何度か不仲説を報じられたこともある。スアレスのゴールをカバーニが祝福しなかった、カバーニのパスの要求をスアレスが無視した云々。選手入場の際は10番目がカバーニ、しんがりがスアレスと決まっているが、確かに2人が微妙な距離を保っているように見えなくもない。

 だが、その真偽のほどはともかく、ひとたびピッチに立てば、2人はただ祖国の勝利のために共闘する。もうかれこれ10年近くも一緒に代表でプレーしているだけに、コンビネーションはまさに阿吽の呼吸。世界広しといえど、たった2人だけでゴールをこじ開けられる前線のコンビは、そう多くはない。

圧巻だったポルトガル戦での先制ゴール。

 ともに3度目のW杯となる今大会でも、最強2トップは対戦相手に脅威を与え続け、いくつもの決定的なシーンを生み出した。なかでも圧巻だったのは、やはりポルトガル戦の先制ゴールだろう。

 右サイドでボールを持ったカバーニが、逆サイドのスアレスにピッチを横断するようなサイドチェンジのパスを送る。受けたスアレスは少しだけ内に持ち出し、右足で高速クロスをゴール前に打ち込む。

 これに猛烈な勢いで“顔面”から飛び込んで合わせたのが、カバーニだった。直後、惑星同士が衝突したような音を立てて弾き出されたボールが、ポルトガル・ゴールに突き刺さっていた。

【次ページ】 あまりに痛すぎたカバーニの負傷。

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