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ウルグアイが誇る最強2トップ。
スアレス&カバーニの奇跡と結末。 

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吉田治良

吉田治良Jiro Yoshida

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photograph byGetty Images

posted2018/07/09 11:20

ウルグアイが誇る最強2トップ。スアレス&カバーニの奇跡と結末。<Number Web> photograph by Getty Images

同い年のストライカー2人がともにワールドクラス。スアレスとカバーニの2トップに、ウルグアイの奥深さを感じる。

フォルランを含めて前線の後継者がいない。

 今大会で株を上げたベンタンクールやルーカス・トレイラ、さらにロシア行きこそ見送られたものの、フェデリコ・バルベルデという19歳の大器も台頭するなど、中盤には若くて有望な人材が育っている。

 また、たとえディエゴ・ゴディンが代表を去ったとしても、フランス戦の終了前から悔し涙を流していたホセ・ヒメネスはまだ23歳で、彼がいればウルグアイの堅守の伝統は守られるはずだ。

 では、前線は?

 ディエゴ・フォルラン、スアレス、カバーニという世界的なストライカーを牽引車に、'10年W杯で4位に躍進して以降、充実の時を過ごしてきたウルグアイだが、その後継者となりうるタレントは、今のところ見当たらない。

 すでにフォルランは代表を引退し、スアレスとカバーニも31歳だ。彼らにとって、これが最後のW杯になっても不思議ではないだろう。

4年前も今回も、ピッチに並べなかった。

 71歳と高齢のオスカル・タバレス監督が、10年以上に及んだ長期政権に幕を下ろせば、ウルグアイは確実に1つのサイクルの終焉を迎えることとなる。

 その、いわばウルグアイ代表の分岐点ともなる試合で、ダブルエースが一緒にプレーできなかったことが、返す返す残念でならない。

 思えば4年前も、2人は同じピッチで終戦を迎えたわけではなかった。決勝トーナメント1回戦でコロンビアとの南米対決に敗れた時、すでにスアレスはイタリア戦の噛みつき事件によってW杯から放逐されていた。

 フランスに完敗を喫し、ベスト4への道が絶たれた瞬間、スアレスは膝に手を当ててしばらくの間、芝生を見つめていた。すると、精根尽きた感の同級生にゆっくりと近づいたカバーニが、労をねぎらうようにそっと彼を抱きしめ、軽く頭にキスをした。

 ウルグアイが世界に誇る最強の2トップ──。もし、奇跡の終着点がこの日だったとしたら、あまりにも寂しすぎる。

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