マスクの窓から野球を見ればBACK NUMBER
ドラフトに「飛び級」があったら。
大学の下級生から候補を選ぶと……。
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byKyodo News
posted2018/07/09 08:00
苫小牧駒澤大の伊藤大海は大学2年生ながらプロでも即戦力レベルの完成度を誇っている。
では「飛び級」を制度化するとしたらどんな形?
妄想が徐々に具体性を帯びてくる。
無制限にしてしまうと、学生野球とプロの間にいさかいが起こるから、「飛び級」を行使できるのは、1回のドラフトでたとえば“3人”までとしようか。
まず、選手側から「飛び級」を行使すると申し出る。
時期はいつがいい? 秋のリーグ戦が始まってからではチーム内に混乱が起きるだろうから「春のリーグ戦終了後のどこか」としよう。
親と指導者の「同意書」……そうだ、“大黒柱”が途中でチームから抜けるのだから、チームメイトたちの応援と祝福も必要だろう。主将名義の「同意書」こそ取っておかねばならない。
それに対応して、プロ野球側は各球団のスカウト部門の責任者たちが議論して、手を上げた選手たちの中から、“適格者”の3人を選ぶ。
選手が秋のリーグ戦に出場するか否かは、チームを含めた選手側の都合にまかせる。
ドラフトでは、通常のドラフト対象の選手たちと同様の扱いで指名を受けることになるが、ここに何か選手にとっての“リスク”を埋め込んでおかねばならないだろう。手を上げた選手の「本気度」を担保するためだ。
人より早くプロに進めるのだから、ある程度の“制約”は課しておかねばならない。たとえば、「指名された球団には入らねばならない(拒否権がない)」でもよいかもしれない。
学生の人生に介入するには本気度が必要。
一方で、プロ側の本気度も担保しておかねば、バランスが悪い。
ならば、飛び級適格者と認定した選手たちは、必ず「上位」で指名しなければならないとしよう。では、上位とは何位なのか?
来年まで待てない、再来年など到底待てない! そこまで惚れ込んで学生の人生に介入してまで“飛び級”を使うのだから、本来なら「1位限定」でもよさそうなところだが、制度はあまりタイトに設定してしまうと長続きしない。ここは、「2位まで」ということでどうだろう。
では、もし、2位までに指名されずに残ってしまったらどうしよう。その時、プロ側に科せられるペナルティーも設けておいた方がいいかもしれない。
飛び級ドラフトの対象者3人がプロ側の“合意”によって人選されることにすると、特定の球団にペナルティーを科せないというのも、この「ペナルティー問題」を難しくしているようだ。何かよいお知恵があれば、ぜひお貸し願いたい。