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東京五輪は中国のメダルラッシュに?
中国陸上界が若手選手を猛烈に育成中!
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAyako Oikawa
posted2018/06/30 08:00
中国陸上界の若き至宝……左が謝震業、右が蘇炳添。アジア陸上界で中国人選手たちが台風の目となっているのは間違いない。
短距離選手はアメリカのIMGアカデミーに。
謝震業は2010年ユース五輪の200mで金メダルをとった逸材だが、その後しばらくの間、「将来性のあるジュニア選手の1人」という扱いで、世界陸上や五輪の常連だった蘇炳添のシニアチームとは別に練習をしていた。
リオ五輪を控えた2015年の冬季練習から蘇炳添と一緒にIMGアカデミーで練習を許可されたが、渡米前に坊主頭にしていることからも、「選ばれた選手の覚悟」が伝わってきた。
IMGアカデミーで指導していたローレン・シーグローブコーチは「蘇炳添も謝震業も最初はちょっとおどおどしていたけれど、すぐに物怖じしなくなった。そういったメンタルの強さも選手としての成長に繋がっている」と話していた。
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蘇炳添は世界陸上の北京、ロンドン大会100mでファイナリストに。謝震業は100m、200m両種目で準決勝まで進んでいる。
また謝震業は追い風参考ながら100mで9秒91。200mでは中国新記録の20秒20を出すなど、海外での練習の成果は十分に発揮できていた。
しかし中国陸連も彼らも、更なる進化を目指して昨年のオフに拠点を移す一大決意をしているのだ。
昨オフから活動拠点をアメリカからオランダに。
「あれ、オランダ?」と思われる方もいるかもしれないが、2人は今年からオランダのトレーニングセンターを拠点にしている。
そう、昨年、サニブラウン・アブデルハキームが所属していたチームだ。
中国側にとって、昨年、ロンドン世界陸上でサニブラウンが200mで決勝に進んだことは大きな衝撃だったのだろう。また400mリレーで日本チームが銅メダルを獲得したこと、そして昨年9月に桐生祥秀が9秒98の日本新記録を樹立したことも大きな刺激になったはずだ。
ロンドン世界陸上が終わると、中国陸連はオランダ人代理人を通してオランダ陸連に受け入れを依頼している。