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東京五輪は中国のメダルラッシュに?
中国陸上界が若手選手を猛烈に育成中!
posted2018/06/30 08:00
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph by
Ayako Oikawa
6月中旬、世界の陸上界に衝撃が走った。
中国の短距離2選手が立て続けに100mで9秒台を叩きだしたからだ。
6月19日にフランスのモントルイユで行われた大会で24歳の謝震業が9秒97の中国新記録を出すと、その3日後、6月22日にスペインのマドリードで行われた大会で、蘇炳添が謝震業の記録を大きく上回る9秒91でアジアタイ記録をうちたて、再び中国記録を取り戻した。
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アフリカ系選手と比べて短距離種目に適性がない、と言われてきたアジア選手の活躍に、世界中の陸上界から驚きと称賛の声が上がっている。
中国のエリート選手たちは海外コーチに師事。
中国の陸上選手の活躍が最初に目立ったのは2015年北京世界陸上だった。自国開催のこの大会で中国は金1、銀7、銅1の合計9つのメダルを獲得している。
男女競歩、男子の跳躍、女子の投擲などでメダルを量産し、中国チームとして世界陸上史上最多のメダル獲得だった。
ロンドン五輪以降、中国陸連は海外コーチの招聘、また選手の海外合宿に力を入れている。2013年にはアメリカ人の跳躍コーチ、2014年にはフランスの棒高跳びコーチを招聘。
蘇炳添はロンドン五輪後からアメリカ、フロリダ州にあるIMGアカデミーで練習を積み、北京で十分とも思える結果を出したのだが……中国陸連はその成功にあぐらをかくことはなかった。
「我々の目標は東京五輪でのメダルラッシュだ」
当時の強化部長はそう話していたが、その言葉通り、中国陸連は巧みに戦略を立て実行し続けている。
東京五輪でキャリアのピークを迎える若手選手たちを海外に送り出し、結果を出した選手に絞り込んで、さらに鍛え上げているのだ。