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東京五輪は中国のメダルラッシュに?
中国陸上界が若手選手を猛烈に育成中!
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byAyako Oikawa
posted2018/06/30 08:00
中国陸上界の若き至宝……左が謝震業、右が蘇炳添。アジア陸上界で中国人選手たちが台風の目となっているのは間違いない。
世界中の大会で日本より上位の中国人選手。
昨年の冬季練習から合流した蘇炳添と謝震業はオランダを拠点に、米国、ヨーロッパの室内試合に参戦している。
2018年3月にイギリスのバーミンガムで行われた世界室内選手権の60mで蘇炳添が6秒42のアジア新記録で銀メダル。謝震業は6秒52の自己ベストで4位に入っている。
5月の上海ダイヤモンドリーグの100mでは蘇炳添は10秒05で2位、謝震業は10秒17で3位。ちなみにこの大会、桐生祥秀は10秒26で9位に終わっている。
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その後、大阪で行われたセイコーゴールデンGPで謝震業は日本勢を抑え、200mで20秒16の自己ベスト、中国新記録を出すなど、新しいコーチの下での練習が順調であることが窺えた。
“バイメカ”を駆使した技術とコーチ力。
オランダ陸連の短距離コーチを務めるレイダーコーチの指導は基本に忠実でシンプルだ。
練習量は決して多くはないが、ドリルを重視し、足の接地、重心の確認を徹底させるほか、足の可動域を広げるための細かな練習を行う。
もう1つ、鍵になるのが練習でバイオメカニクスのデータを駆使していることだ。
サニブラウンの大きな飛躍の理由の1つもここにある。
オランダ陸連はレイダーコーチの推薦を受け、イギリス人のバイオメカニクス専門家を雇い、技術練習が進む1月頃からほぼ毎週のように測定を行っている。
測定用の器具と3台のカメラを用いて、選手たちの走りを精密に測定。その情報はすぐにコンピュータに送信され、バイオメカニクス専門家とコーチ、そして選手が一緒に足の接地、バランス、リズム、ストライド、スピードなどの数値を確認する。選手は注意された部分を意識しながら、次の1本を走るのだ。
その地道な作業を何度も何度も行い、フォームや走りを改善していく――。