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ロッテの挑発ポスターへの反応は?
「つば九郎の方が」「妬み?」
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph bySports Graphic Number
posted2018/06/21 07:00
ロッテの交流&挑発ポスター。完全に初夏の名物として定着しつつある。
イメージは“ジャーン ジャーン”。
そんなこんなで、すっかり交流戦の風物詩となったみんな大好きロッテの挑発ポスターが、今年の交流戦を前にして急に「挑発しません」なんて言い出した。
「今年は交流戦ポスターはやらない方向で考えています。去年は11位だし。『弱いくせに挑発なんかするな』って散々叩かれましたし。もうネタも尽きました。降参です」
そんな言葉は瞬く間にニュースとなりYahoo!トップを飾ってしまう。そこまでこの挑発が世間の耳目を集めるものだとはつゆ知らず。なんだよネタ切れ降参って……と挑発を楽しみにしていた人たちが、ガッカリと肩を落としていた交流戦前日。
2018年、交流戦ポスターが発表された。
結果的に、今年も挑発していた。それは「アンビグラム」という別角度から見れば違う文字に読み取れるグラフィカルな文字で、一見すると相手チームをリスペクトした文字に見えるのだが、上下に180度回転させると相手を挑発する文字になるという、芸術性も挑発性も高い手の込んだもの。
やらないと思わせて、交流戦に入る前日に出してくる。正面から見れば尊敬、ひっくり返せば挑発。二重三重のこの仕掛け、内容どうこうじゃなく、概念から挑発をするという行為がもはや、悪ふざけの域を越え、職人の世界へと行ってしまった気がする。
(挑発さん)「ダマされました? いやー、なんていうんでしょう。いわゆる“伏兵”のイメージですよね。『わぁ、負けたぁ逃げろー』と敗走したふりをして、敵が伏兵の隠れているところまで来たら、“ジャーン ジャーン”と銅鑼が鳴る。ひーっと一網打尽にしてしまうあの作戦ですよ。
あえてマスコミの前で『今年は挑発しません』と口にして、『残念だなぁ』という世間の空気を作っておいてから、どーんと出す。おかげさまで大反響、挑発の効果は倍増だったと思いますよ。
現に、交流戦前日の記者会見でお会いしたNPB関係者、並びにセ・リーグ各球団の広報の方たちも『今年はやらないみたいですね』と実に穏やかなお顔をなされていました。そこから切り返してのコレでしたから、いい挑発が出来たと思います」
今回の交流戦挑発ポスターはテレビ、新聞、ネット共にメディア露出が多く、ある広告代理店が導いた広告換算数値は約2億円~3億円だという。ポスターは完全な広告物なので、無償で紙面に掲載されたりテレビでOAされることなどは、非常に稀な出来事であることを考えても、今回の挑発は、最高の結果を生んだと言っていいだろう。