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クローゼが語るレバンドフスキの技。
「すべての能力を持つストライカー」
text by
アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge
photograph byGetty Images
posted2018/06/18 08:00
ダイレクトプレー、裏への抜け出し、ミドルシュート……。点取り屋としての能力をすべて兼ね備えたのがレバンドフスキだ。
ストライカーが今求められていること。
今、クローゼはヨアヒム・レーブ監督のコーチングスタッフの1人として、ドイツ代表で働いている。指導者になったことで、より深くストライカーについて考えるようになった。
「ドイツ代表のスタッフとして、FWの走るコースをビデオで分析して、いつ・どこに・どう走るべきかをFWたちと話し合っている。レーブ監督は戦術の細かいニュアンスまでこだわっているからだ。
U-21とU-18以外のアンダー年代の代表でも仕事をしている。あとはW杯で対戦する相手の分析。いつまでドイツ代表の仕事を続けるかは未定だが、将来的に指導者になりたいと考えているんだ。
ここ10年、15年で、ストライカーの役割は変わってきた。特に攻撃から守備の切り替え。ボールを失ったら戻らなければならない。もはや1人で前に残って、守備に参加しないのはオールドスタイルだ。
また、ロングボールを放り込むだけのチームも、ほとんどなくなった。丁寧にパスをつなぎ、ポゼッションを大事にする。FWがパスコースをつくらなければならない。つまり攻撃でも、守備でも、より走らなければならなくなったということだ。
その結果、『偽9番』が戦術のバリエーションのひとつになっている。9番の位置にこだわらず、左右に流れたり、後ろに下がり、パスを受けて味方が使えるスペースを作り出す。9番が動き回って、チーム全体の動きを予測しづらくするんだ。
ドイツ代表では、このやり方がうまくいってW杯を制した。自分は偽9番というつもりでプレーはしていなかったが、結果的にそういうプレーになっていたと思う。
攻め方が1つでは読まれてしまう。ロシアW杯でも攻撃のバリエーションの豊富さが鍵になるだろう」