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クローゼが語るレバンドフスキの技。
「すべての能力を持つストライカー」
posted2018/06/18 08:00
text by
アレクシス・メヌーゲAlexis Menuge
photograph by
Getty Images
引退した今、指導者の眼力を養っている彼が、
かつての自分の特徴と比較しながら、
当代最高のセンターフォワードを分析する。
Number946号(2018年2月15日発売)の特集を全文掲載します!
サッカー界には4年ごとに活躍する「W杯男」がいる。2016年に現役を引退した元ドイツ代表のミロスラフ・クローゼもそのひとりだ。
初出場となった'02年日韓大会では5得点で準優勝に貢献。'06年ドイツ大会では得点王に輝き、'10年南アフリカ大会では2大会連続の3位に貢献した。
そして'14年ブラジル大会では、ロナウドを抜いてW杯通算得点の新記録を樹立(16点)。念願のW杯優勝も手にした。
このレジェンドが、世界最高のストライカーとしてあげるのがポーランド代表のロベルト・レバンドフスキだ。2人は共通点が多い。ともにポーランド生まれで(クローゼはのちにドイツ国籍を選択)、バイエルンの先輩・後輩でもある。ひとつ大きく違うのは、ロシア大会がレバンドフスキにとって初のW杯になるということだ。
トリッキーなレビーの動きはやりづらい。
なぜレバンドフスキは世界最高のストライカーなのか。ミュンヘン在住のクローゼに解説してもらった。
「レバンドフスキというストライカーを一言で表すなら、『すべての能力を持っている』という言葉がふさわしいだろう。左右の足で強烈なシュートを放つことができ、ヘディングも得意にしている。浮き球の処理もうまい。FKのキッカーとしてもバイエルンでトップクラスだ。
注目すべきは、ボールがないときのプレーも優れていることだ。細かいステップからダイナミックな裏への走り込みまで、信じられないくらいに動き続けている。1カ所に留まることなく、相手のDFラインとMFラインの間を行き来している。
その動きの質を支えているのが優れた予測能力だ。彼は相手の考えを読むのがすごくうまい。DFは警戒していても、考えを読まれて逆を取られてしまう。
さらにDFをやりづらくさせているのが、レビーの動きがトリッキーなことだ。自分は相手を読みつつ、相手には自分を読ませないようにする。パスが来る前に、長い腕など体全体を使ってフェイントを仕掛け、DFを騙そうとする。どちらの方向に動き出すかわかりづらい。
よく動くうえに、インテリジェンスがあり、トリッキー。どんなDFでも一緒に練習したら、味方で良かったと思うだろう」