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連闘モズアスコット◎が大的中!
安田記念で矢作師を信じた根拠。
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byYuji Takahashi
posted2018/06/04 11:30
モズアスコットを先頭でゴールに導いたクリストフ・ルメール。マイル戦線に一躍スターホースが躍り出ることになった。
「短い間隔で使うのは日本一得意(笑)」
この日の馬体重は前走からマイナス6kgの482kg。ガレることもなければ、真夏のような陽射しの下でも過度には発汗せず、素晴らしい状態に仕上がっていた。
「先週日曜日にレースで走って、火、水の朝の状態を見て大丈夫だと判断しました。短い間隔で競馬を使うことに関しては日本一得意な調教師だと思っています(笑)」
短い間隔で使うとき、特に連闘で臨むときのポイントについてはこう話す。
「とにかく、しっかり疲れをとること。それに専念することですね。あとはメンタル面のケア。フランケル産駒は、牝馬だとテンションが高めですが、モズアスコットは、オンとオフがはっきりしていて、扱いやすい。大好きです」
体質的に弱いところがあったため、デビューが3歳の6月と遅くなった。焦らず、時間をかけて育ててきたことが、この急成長につながったと矢作師は言う。
「マイル界を牽引する存在になる馬だと思いますし、なってもらわないと困る。もっと大きなところをとらせて、世界的な種牡馬にしたいですね」
フランケル産駒らしい強い末脚がある。
その成長力は、デビュー4戦目、昨年9月の500万下で初めて騎乗し、今回がコンビ5戦目となったルメールも認めるところだ。
「初めて乗ったときは子供っぽかったけど、レースを経験するごとに能力を出し、自分がすべきことを理解していく。特に、フランケルのように有名な種牡馬の産駒がこうして成長していくプロセスを、GIを勝つまで見届けることができるのは、とても楽しいです」
この馬のいいところは「ロング・アクセラレーション」だという。
「フランケルの強い産駒に共通しているのですが、強い末脚をゴールまでつづけることができる」
ルメールも、また矢作師も安田記念は初勝利だ。特に矢作師は、2010年スーパーホーネット、'12年と'14年はグランプリボスで2着と、惜しいところで勝利を逃していた。延べ14頭目のチャレンジとなった今回は、リスグラシュー(6番人気8着)、リアルスティール(4番人気15着)との3頭出しだった。
「3頭とも見ていたので、モズアスコットが届くんじゃないかと思ったのは、ラスト100mぐらいのところでした。このレースを獲りたいという思いは世界一強かったと思います」