JリーグPRESSBACK NUMBER
過密日程はデメリットだけじゃない。
アルビレックスが得た膨大な経験値。
posted2018/06/03 09:00
text by
大中祐二Yuji Onaka
photograph by
Getty Images
3月は7連戦、4月は3連戦を2度、5月は6連戦。
2003年以来となるJ2リーグを戦うアルビレックス新潟は、開幕から3カ月、タイトな日程の中にあった。同じく今シーズン、J1からJ2に降格したヴァンフォーレ甲府とともに、YBCルヴァンカップに参戦したからだ。
それも3月は中2日で2試合、4月は中2日の2試合を2度、5月に至っては中2日で4試合である。今シーズンから新たにチームを率いる鈴木政一監督のもと、J1昇格の挑戦は、地歩を固めながらというよりも、カップ戦と並行して結果を出し続けなければならないプレッシャーとともに始まった。
ADVERTISEMENT
結果、ベガルタ仙台、横浜F・マリノス、FC東京と戦ったルヴァンカップは、グループステージ最終節まで突破の可能性を残しながら、プレーオフには進めず。肝心のリーグ戦も4月に4連敗するなど、16節を終えて6勝3分け7敗の11位と振るわない。
果たして、今シーズンのレギュレーションによりJ1チームに交じって戦ったルヴァンカップは、日程を過密にする負担のみをチームに強いたのだろうか。
リーグとカップ戦でターンオーバー。
当初、鈴木監督には、あるアイディアがあった。ルヴァンカップとリーグでメンバーを分けるにせよ、状況によってはリーグのメンバーもルヴァンカップに起用する。J1の舞台を味わわせることで、選手のモチベーションを刺激するというものだ。
しかし、結果的にはリーグとはメンバーを入れ替える完全なターンオーバー制で、ルヴァンカップの6試合を戦った。
「チームの成長が、予想よりも安定感を欠いていたからです。どういうメンバーで戦えば、リーグで結果を出していけるか。J2中心に考えたとき、2チーム制のような形になった」
鈴木監督の判断は、至極当然だろう。
象徴的だったのが、ルヴァンカップ初戦の仙台戦のメンバー編成だ。
4日前のリーグ第2節松本山雅戦から先発総入れ替えとなり、チームの要であるボランチとして、筑波大学から加入したプロ1年目のMF戸嶋祥郎と、新潟シンガポールから加入したDF柳育崇の2人が先発した。そのどちらもが、キャンプからボランチに取り組み始めたばかりという、フレッシュといえばあまりにフレッシュな面々となった。