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セリエA迷言大賞はガットゥーゾ!?
「若手はカワイコちゃんと……」
posted2018/05/30 11:00
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Getty Images
「もう3日も妻と口を聞いていない」
昨年秋、イタリア代表がロシアW杯出場のかかった大一番である予選プレーオフ第2戦を迎えたとき、ジェノアの監督ダビデ・バッラルディーニは憮然とした表情で地元紙のインタビューに応えた。最初の出会いから30年近くになる彼の妻アンナは、対戦国スウェーデン出身なのだった。
「彼らが初戦に勝って以来、家の中で顔を合わせれば『(予選敗退が)怖いんでしょ、ね?』と厭味ったらしく言ってくるから頭にくる」
結果は読者もご存知の通り、イタリアのロシア行きは叶わなかった。
それでも、苦境に立ち向かう精神や悲劇を笑い飛ばすユーモアまでイタリアが失ったわけではない。バッラルディーニは付け加えた。
「3人の子供たち全員が応援するのはイタリアの方だぞ!」
有名美人モデルが超上から目線!?
2017-18シーズンのセリエAは、ユベントスのスクデット7連覇で幕を閉じた。ナポリの熱い戦いぶりに加えて、CL出場権や残留争い、本格導入されたVAR(ビデオ判定補助システム)等など話題豊富だった今季もカルチョの国では多くの名台詞や迷言が生まれた。
そこで、今回の本コラムではシーズンを彩った「セリエA迷言大賞」を選定してみたい。銀賞と金賞、それから真面目な“名言”大賞も選んでみた。
<迷言部門銀賞>
「ベネベントは4年でCL決勝に行けます。私の言う通りに従えば」
(モデル/TVタレント、ニナ・モリッチ)
開幕から14連敗、欧州1部リーグ史上最弱ではないかと話題を呼んだ昇格クラブ、ベネベント。ドン底にあった昨秋、彼らに有名美人モデルが仰天のクラブ改革プランを提示した。
サッカーの門外漢である彼女は、ビゴリート会長宛に「今いる外国人選手を中国に売ってユーベの有望な若手とパリSGかレアル・マドリーから一流を買ってくる」を始めとする4段階の荒唐無稽なプランを進言。「今のあなた方は物笑いの種」「どうしてバルセロナがユニセフをスポンサーにできたか、会長はご存知ないでしょう?」など“超上から目線”の暴言も連発。
ここまで言われて発奮したのか、前半戦で勝ち点4しか取れなかったチームは、後半戦ではミランを敵地サン・シーロで破るなど健闘。スピード降格間違いなしと思われていたが、4月の34節まで残留争いに踏み留まってみせた。
世迷い事ここに極まれりといった“珍”助言は、現場をかえって冷静にさせ、地に足つけて戦わせる効果を生んだようだ。