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セリエA迷言大賞はガットゥーゾ!?
「若手はカワイコちゃんと……」
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2018/05/30 11:00
昨年11月にミランの監督となったガットゥーゾを始め、ユベントスのアッレグリ、ナポリのサッリなど個性派指揮官の言葉も今季を彩った。
「アイツは生きたナメクジを」(ピルロ)
正確な受賞コメントには「若手は練習、練習、そして練習。それから休養、休養、休養」という前口上がある。大事なことは3度くり返す。それがガットゥーゾ流指導法なのだ。
ミラネッロ練習場で重ねた練習や記憶は決して消えない。今季のコッパ・イタリア決勝戦直前には、かつて中盤でコンビを組んだ天才がガットゥーゾの仰天逸話を暴露した。
「ガットゥーゾは生きたナメクジを食べたことがある」
(アンドレア・ピルロ)
今から11年前、マンチェスター・UとのCL準決勝2ndレグ前日のことだという。後日の別会見で真偽を問いただされたガットゥーゾは「チームのためなら俺は何でもできるという覚悟を証明するためにやったのさ」と苦笑いしながら内容を否定しなかった。
何でもできるならナメクジを食えるかという、天才ピルロがもちかけた無茶な賭けを受けて立ち、ガットゥーゾは雨上がりのミラネッロで意を決して実際に口にしたらしい。
ピルロ以下チームメイトたちはまさか、と驚いた後に爆笑。賭けをもちかけたピルロは負け分を未だ払っていないというから、彼の悪戯っ気も相当なものだ。欧州の頂点に立つチームとやらはどこか狂気を孕んでいるらしい。
今季のミランは総額200億円以上を費やした超大型補強の末に開幕から低迷。モンテッラ監督解任後、チームを引き継いだガットゥーゾは、チームを建て直してEL出場権を勝ち獲った。
初めて開幕から指揮をとる来季、ガットゥーゾの第一声が楽しみでたまらない。
ナポリの監督が残念がったナイーブさ。
<名言大賞>
「グラウンドの中でスクデットを逃したのではない。我々はホテルにいながら、すでに敗れていた」
(ナポリ監督マウリツィオ・サッリ)
戦う前に負けていた、ということなのだろう。
最強の挑戦者ナポリは最後までユベントスを苦しめた。34節の直接対決で劇的勝利を収め、王者を勝ち点差1に追い詰めた彼らは4月28日の土曜日、35節アウェーゲームのためにフィレンツェのホテルへ前泊。
そこでナポリ一同は、土曜夜に組まれていたインテル×ユベントスの大一番をホテルでTV観戦したが、89分のユーベ大逆転勝利を目にしたことで大きなショックを受けることに。翌日、ナポリはフィオレンティーナにボロ負けし、そこでタイトルへの望みは事実上断たれた。
「スクデットを獲るために本当にしなければならなかったことはあの土曜の夜、とっとと早く寝ることだった。あの試合を見てしまったことで、チームは心理的に動揺した。うちは精神面でナイーブだった」