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セリエA迷言大賞はガットゥーゾ!?
「若手はカワイコちゃんと……」 

text by

弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byGetty Images

posted2018/05/30 11:00

セリエA迷言大賞はガットゥーゾ!?「若手はカワイコちゃんと……」<Number Web> photograph by Getty Images

昨年11月にミランの監督となったガットゥーゾを始め、ユベントスのアッレグリ、ナポリのサッリなど個性派指揮官の言葉も今季を彩った。

応用力があるブッフォンの忖度発言。

<迷言部門金賞>

「インセンシービレ(無慈悲だ)!」
(ユベントス主将ジャンルイジ・ブッフォン)

 元々はR・マドリーとのCL準々決勝2ndレグで93分目にレアルへのPKと自身への退場を宣告したオリバー主審に向かって言い放ったもの。3点差を追いつく熱い試合展開だっただけに、意訳すれば“空気読んで忖度しろよ!”と吠えたブッフォンの言葉には強いインパクトがあった。

 すると「無慈悲な、無神経な、人情のない」という意味の形容詞は一人歩きを始め、国中のスタジアムでその後大流行。ナポリでもフィレンツェでもPKを与えてしまったチーム側の応援団が「インセンシービレ(×3)!」と繰り返しながら主審を野次る光景が常態化した。

 今季最終節をサン・シーロで取材した後、スタジアム最寄りの地下鉄駅でサポーターの集団数百人と居合わせたが、乗り遅れた電車に向かって彼らの「無慈悲だ~!」コールを目撃したときには思わず笑ってしまった。意外な応用力があることを発見したので、これを金賞としたい。

闘犬ガッドゥーゾの発言にハズレなし。

<迷言大賞>

「若い選手はカワイコちゃんの恋人を見つけてほしい。夜遊びせず、家に帰ってちゃんと飯を食って、彼女とやることやって、後はよく休むことだ。この発言は大丈夫だよな?」
(ミラン監督ジェンナーロ・ガットゥーゾ)

 少ない機会ではあったけれど、現役時代からガットゥーゾの“コメント力”はずば抜けていた。監督になって発言機会が飛躍的に増えた今、その斬れ味は鈍るどころかますます冴え渡っている。リップサービスなんてものができるほど器用でないことは周知だ。ダミ声の会見はどれも強烈に面白すぎて、まず“ハズレ”がない。

 受賞コメントは、今季急成長した20歳のFWクトローネについて2月初旬の会見で語ったものだ。

 コメント中にある「やることやって」とはもちろん性行為のことだが、原語では“愛をする”という情緒的表現が使われている。彼が使い慣れているはずの俗語表現にはもっと直接的で下品な言い方もあるのに、年齢と分別を重ねたガットゥーゾ監督は“愛をする”というロマンチックな言い方を選んだ。

 それでもセクハラ発言に当たらないか、自他ともに認める愛妻家の彼が念押しする姿を微笑ましく思わない記者はいない。

【次ページ】 「アイツは生きたナメクジを」(ピルロ)

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