スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
レアルがCL3連覇逃せば屈辱の1年。
ネイマール獲得の噂にベイルの意地。
posted2018/05/24 11:30
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Getty Images
素晴らしい内容だった前半に2ゴールを先行しながら、失速した後半に2失点して勝利を逃す。
ビジャレアルと2-2で引き分けたリーガ・エスパニョーラの最終節は、不安定な戦いを繰り返してきた今季のレアル・マドリーを象徴する一戦となった。
最終順位は、2013-14シーズン以来の3位(2位はアトレティコ・マドリー)。優勝したバルセロナには勝点17差をつけられた。22勝10分6敗で勝点76は過去10年、94得点44失点は過去8年で最低の数字だ。
さらに、国王杯では格下のレガネスにホームで敗戦し、準々決勝で姿を消している。これは通常ならば、即刻監督解任につながる大失態である。
それでもジネディーヌ・ジダンがここまで指揮を執り続けてきたのは、チャンピオンズリーグ3連覇の可能性をつないできたからに他ならない。
ユーベ、バイエルン戦では命拾い。
とはいえ、その道のりも順調と言えるものではなかった。
グループリーグはトッテナムに1分1敗と及ばず、2位で通過した。決勝トーナメント1回戦ではパリ・サンジェルマンに連勝して復調を印象付けたが、その後は紙一重の勝ち上がりが続いた。
ユベントスとの準々決勝ではホームで迎えた第2レグで3失点して、敵地で得た3点のアドバンテージを台無しにした。ブッフォン退場の悲劇をもたらした終了間際のPKは、UEFAによる“陰謀論”まで飛び出す疑惑の判定。そのPKをクリスティアーノ・ロナウドが押し込み、なんとか延長戦を免れた格好だ。
バイエルンとの準決勝もラフィーニャとウルライヒの信じ難いミスによって2ゴールをプレゼントされていなければ、結果は全く違ったものになっていた可能性があった。