スペインサッカー、美学と不条理BACK NUMBER
レアルがCL3連覇逃せば屈辱の1年。
ネイマール獲得の噂にベイルの意地。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byGetty Images
posted2018/05/24 11:30
ジダン監督体制2年目はクラブW杯を制している。とはいえレアル・マドリーはCL3連覇を逃すと逆風の吹くオフとなりそうだ。
3冠すべて逃せば失敗のシーズンに。
しかし、それでもレアル・マドリーが偉業に王手をかけた事実は変わらない。
3年連続13回目のビッグイヤーを手にすることができれば、ジダン監督と選手たちは伝説のチームとして歴史に名を残すことになるだろう。
だが、決勝で負ければ話は別だ。
昨年8月にUEFAスーパーカップとスーペルコパ・デ・エスパーニャを制して好発進を切ったチームは、12月にクラブワールドカップで連覇を果たした。それでもリーガ、コパ、CLの主要タイトルを1つも獲れずにシーズンを終えれば、今季は失敗のシーズンとして記憶されることになる。
レアル・マドリーにとっては、文字通り今季の命運を懸けたファイナルとなるわけだ。
またキエフでの決勝は、移籍が確実視されている選手にとってはレアル・マドリーでのラストゲームとなる。
負傷を繰り返し、若手の台頭でベンチへ。
ベイルが、その1人だ。
2013年の夏、当時の史上最高額となる移籍金1億100万ユーロを払ってトッテナムから獲得したウェールズ人アタッカーは、初年度こそチャンピオンズリーグと国王杯の決勝でタイトルを引き寄せる重要なゴールを決めた。
だが、2年目以降は負傷離脱を繰り返すなかで存在感を失う傍ら、イスコやアセンシオ、ルーカス・バスケスらが台頭してきた。
5シーズン目の今季は、ビッグゲームでの先発起用を義務付けてきたフロレンティーノ・ペレス会長の庇護も失い、コンディションの良いときでもベンチを温めるようになった。