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若手から“師匠”と慕われる35歳。
オリ山崎勝己の役割とこだわり。 

text by

米虫紀子

米虫紀子Noriko Yonemushi

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photograph byNIKKAN SPORTS

posted2018/05/18 10:30

若手から“師匠”と慕われる35歳。オリ山崎勝己の役割とこだわり。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS

プロ18年目のベテランは、チームの底上げにつながる重要な役割を果たしている。

「兼任コーチ」の冗談は強めに否定。

 若月は、「いい言葉をいただけました。話しているとすごく勉強になります。やっぱりあの人はすごい。普段はめっちゃ優しくて、みんなにいじられるような人なんですけど、やっぱり18年間プロでマスクを被っている人ですから」と語っていた。

 22歳の若月や西村など他の捕手とは年齢が離れているとはいえ、同じポジションのライバルでもある。しかし山崎は、自分の手の内を隠すことなく教える。

「本来、カツさん(山崎)からすれば別に教える必要はないわけじゃないですか。それで(他の捕手が成長すれば)自分の居場所というか、職場がなくなる可能性だってなくもないのに」と西村は不思議そうに言う。

 しかし山崎は、「そんなことは考えないですよ」と笑い飛ばす。

「言っても、そんなすぐにできると思ってないし(笑)。絶対に。すぐに言った通りにできるんだったら、みんなすごい捕手になっちゃう。やり方がわかっていても、なかなか試合でそれを表現するのは難しいんです」

 ダイエー、ソフトバンクで13年、オリックスで5年の18年間、リードを武器に生き抜いてきた自負がのぞいた。

 立ち話でそんな話を聞いていると、通りがかった風岡尚幸内野守備走塁コーチが、「いい話するからね、兼任コーチは」とちゃかして行った。もちろん山崎は兼任コーチではない。冗談とわかっていても、山崎は「そんなことないです」とやや強めに否定した。一瞬、“選手”へのこだわりが見えた。

早くも昨年の出場試合数を上回った。

 今年は4月18日に一軍に昇格すると、先発出場の機会が増えていった。若月が左太ももを痛めた影響もあり、金子千尋、西勇輝、山岡泰輔、ブランドン・ディクソンの先発時には山崎が先発マスクを被っている。5月12日に今季18試合目の出場を果たし、早くも昨年の出場試合数を上回った。

 5月15日現在、17勝21敗で4位と5位を行ったり来たりしているチームにあって、山崎が昇格してから出場した試合は11勝8敗と勝ち越している。

「チャンスをいただいているので頑張るしかないですよね。とにかくゲームを作らないといけない。打線との兼ね合いもあるので、勝ち負けはあまり意識しないようにしていますけど、先発ピッチャーはなんとか6、7回まで、うしろは絶対にゼロで抑えて、まとめられたなという試合をしたいですね」

【次ページ】 何試合出ても、緊張感は変わらない。

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