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沢村賞の才能秘める広島・岡田明丈。
異常に低い被打率を誇る球質とは? 

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前原淳

前原淳Jun Maehara

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photograph byKyodo News

posted2018/05/14 12:15

沢村賞の才能秘める広島・岡田明丈。異常に低い被打率を誇る球質とは?<Number Web> photograph by Kyodo News

4月25日のDeNA戦での先発で「力感」のイメージをつかみ、一皮むけた感のある岡田明丈。

昨季後半、二軍降格になった事情とは?

 入団して3年。未完成の精度は着実に上がっている。

 ここまで6試合に登板し「昨年よりは確率的には上がっているかな。そのイニングを伸ばせている」と手応えを口にする。確かなものを掴んだのは、3本塁打を浴びた4月25日DeNA戦(横浜)。

 7回7安打5失点も、勝ち投手となった。

 大量リードがあったからこそ、マウンドで試したことがあった。それは、力感だ。

「昨年は最初からぶっ飛ばす、というくらいで投げていた」

 力を入れすぎた力感は、ハマッたときは力を発揮できても継続することが難しく、安定感に欠く。それを昨季の投球が示していた。

 前半戦好スタートを切りながらも、シーズン中盤からバランスを崩し、立て直せないままシーズン終盤には二軍降格を味わった。

いくら長打を浴びても冷静だった岡田。

 ちょうどいい力感を求めながら投じた87球だった。

 今季本塁打を浴びたのはこの試合だけ。しかも3本。コースにこだわって無駄な走者を溜めないように、ストライクゾーンの中で勝負する投球に徹した結果だった。

 その中で力の入れ具合、抜き具合を試行錯誤。いくら長打を浴びても、マウンドでは冷静だった。

「調子は良くなかった。でもすごい点数を取ってもらって、力感をテーマにして入った。マウンド上で『ああ、この感覚では(球が)高くなるな』とか整理できた」

【次ページ】 「自分が投げ切れたか、投げ切れなかったか」

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