バレーボールPRESSBACK NUMBER
バレーで欧州3カ国を渡り歩いた男。
古賀太一郎、海外との向き合い方。
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byKiyoshi Sakamoto
posted2018/05/15 17:00
全日本に選ばれた古賀は、「メンタルで負けずに世界としっかり戦える集団になる手助けができればと思います」と話す。
当初はプロ転向を考えていなかった。
現在、古賀はプロ選手である。
しかし、昨シーズンまでは社員として、豊田合成の海外育成出向制度を利用し海外でプレーしていた。当初はプロになるつもりはなく、昨年フランスから帰国した後、こう語っていた。
「企業スポーツの良さもあると思うんです。今、プロ化のいい面ばかり言われていますが、リスクもある。でも企業チームはリスクが少ない中でも、今のように海外に挑戦することは可能です。そこは日本のバレーボールの良さとして、前面に出す必要があると思う。汚い話になりますが、生涯年収がどちらが多いかというと、社員としてやる方が多いと思う。無理矢理プロ化に進むより、今の企業スポーツの形からいろいろと派生していった方が、バレーの普及の面でもいいんじゃないでしょうか。
僕は豊田合成にとってもらって、今回、海外に行くにあたってもヘルプしてもらった。豊田合成に入部できたことによって今がある。だから、今いろんなオファーがあって、おいしい話が来たからそちらに飛びつくというのは、どうかなと……。自分はバレーの技術が向上すれば、それ以上求めるものはないし、会社も協力してくれているので、プロは考えていません」
「これ以上無理、の時どうするか」
海外に行く上で、社員であるデメリットはないかと聞くと、こう答えた。
「ないんじゃないですか。リスクがないことによってプロ意識に欠けると言われたらそれまでですが、そこは個人の気持ちの持ちようですから。海外に行けば誰も助けてくれないので、自然とハングリー精神も身につきますしね。
だからデメリットは特にない気がしますけど……あ、1つありますね。会社に所属しているので、自分がやりたいからといって、いつまででも海外で、というのは不可能ですよね。これ以上は無理、となった時にどうするか。自分の目標と、会社のプランニングがズレた時には悩むかもしれません」