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五輪を連覇中の女子スター選手、
セメンヤを狙い撃ちした国際陸連。
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byGetty Images
posted2018/05/09 16:30
リオ五輪、女子800m決勝でのセメンヤ。現時点では圧倒的な強さを誇るものの、自己ベストは世界歴代8位にとどまる。
様々な問題をはらんだ新規則の行方は……。
今回の規則は様々な問題をはらんでいる。
女子選手の権利、1人の女性の尊厳と人権、パフォーマンスを低下させるための薬物摂取の強制、そして1人の選手を狙い撃ちする、いわば「いじめ」である点などだ。
また2009年に国際陸連の関係者がマスコミ関係者に「両性具有」と“アウティング(本人の了解を得ずしての暴露)”したことは、倫理的に許されることではない。
またセメンヤがテストステロンの値を下げる薬物を摂取した場合、今後、パフォーマンスだけではなく、彼女の健康にどのような影響を及ぼすのかも懸念される。
セメンヤが所属する南アフリカ陸連は、今回の規則に対し、スポーツ仲裁裁判所(通称CAS)に提訴するとしている。
国際陸連とセメンヤの戦い、そしてスポーツ仲裁裁判所がどのような判断を下すのか注目していきたい。