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『遙かなるセントラルパーク』破天荒な展開とリアルな描写に脱帽。大陸横断マラソンが生む人間ドラマ。 

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堂場瞬一

堂場瞬一Syunichi Douba

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posted2018/05/13 17:00

『遙かなるセントラルパーク』破天荒な展開とリアルな描写に脱帽。大陸横断マラソンが生む人間ドラマ。<Number Web> photograph by Sports Graphic Number

『遙かなるセントラルパーク 上・下』トム・マクナブ著 飯島宏訳 文春文庫 上巻740円+税、下巻750円+税

 西海岸のロサンゼルスからニューヨークまでの約五千キロを走って踏破するレースという、極めてシンプルな物語である。「物語の幹は太くシンプルな方がいい」と言ったのが誰かは忘れたが、まさにこれを地で行くストーリーだ。

 この大陸横断マラソン「トランス・アメリカ」には、賞金目当てに世界中からランナーが集まって来る。本格的なスポーツ大会であると同時に「見世物」でもあるのだが、参加者は本気で勝ちを狙いに行くわけで、五千キロという道中、曲者たちの思惑で様々なドラマが展開されていく。


 どれくらい曲者かというと、主要登場人物のプロフィルを見るだけで分かる。ドク・コールは(怪しい)薬の販売人兼プロランナー。ヒュー・マクフェイルはスコットランドから来た失業中の職工で、本来は短距離の選手。マイク・モーガンは組合活動のせいで失業した工場労働者で、闇ボクシングで日銭を稼いでいた。紅一点のケイト・シェリダンはダンサー。ピーター・サーレイはイギリス貴族で、元オリンピック選手だ。

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トム・マクナブ

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