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ロッテ井口監督「真っ直ぐが大事」。
悩める益田直也に強気は戻るか。
text by
永田遼太郎Ryotaro Nagata
photograph byKyodo News
posted2018/04/20 11:00
益田直也(右)は1989年、和歌山県生まれ。市立和歌山商高から関西国際大を経て、2012年ドラフト4位で入団した。
打たれた残像が残ってしまうと……。
「正直、ファームで過ごしているときも自分で『これをしよう』と思って、何かに取り組んでいた感じもしなかったです。やる気がみなぎっている感じもなくて、それくらい自信をなくしてしまっていたというか、そんな感じでした」
それでも益田は、強気な投球とハングリー精神で、ここまで這い上がってきた。
どれだけ打ち込まれても気持ちを整理し、愛する家族の前では普段通りの自分の姿でいる。それを徹底してきた彼だからこそ、その裏でそれほどまでに落ち込んでいたと聞いたとき、正直、驚きを隠せなかった。
「やっぱりピッチャーって打たれることが多くなると、打たれた残像が頭の中に残るんですよね。逆に抑えているときはその残像が残るから、適当に投げるって言ったらおかしいですけど、そのくらいの気持ちで投げても抑えられる。そういう意味で昨年は、良いイメージで投げる場面が少なかったですし、何をしたら良いのかも分からなかった」
そんな益田に、救いの手を差し伸べたのが、当時はまだ選手の立場だった井口資仁(現監督)だった。
井口から食事に誘われ聞いたこと。
井口は8月27日の福岡を一区切りに、9月24日の引退試合までの約1カ月間、ファームで過ごした。その際、悩み苦しむ益田の姿を見て、居ても立っても居られず食事に誘った。
「(井口さんとは)ファームにいるときも喋りしましたし、一度ごはんにも連れて行ってもらいました。そこで『ピッチャーは真っ直ぐが大事だから』という言葉をいただいた。もう1回、自分の真っ直ぐを見直してやろうと……。そう思いながらここまでやって来ましたね」
昨年秋に行われた台湾での遠征試合でも、今春の石垣島キャンプでも益田はとにかくストレートを投げて、自分の感覚を取り戻そうと考えた。
「今年の投手陣のテーマでもありますが、僕自身、今年のキャンプで真っ直ぐしか投げていないですし、自分でもどこまで変われるのかなと思いながらやってきました。ようやくシーズンが近付いて、自分の真っ直ぐが元の状態に戻って来たというか、自分でも良くなってきたと思えるくらいの感覚になってきた。そこは素直に良かったと感じていますね」