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大谷翔平以外にイチローと青木も?
メジャーで増える臨時の“二刀流”。

posted2018/04/12 17:30

 
大谷翔平以外にイチローと青木も?メジャーで増える臨時の“二刀流”。<Number Web> photograph by AFLO

もともと高校の頃は投手をやっていたイチロー。日本のオールスターで登板したことも。

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四竈衛

四竈衛Mamoru Shikama

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 全米中を沸かせているエンゼルス大谷翔平の「二刀流」とは、まったく別次元の話であることは、言うまでもない。

 4月9日の「マリナーズvs.ロイヤルズ」戦で、0-9とリードされたマリナーズは、ユーティリティー野手のテイラー・モッターをマウンドへ送った。結果は、1回を投げて1安打1失点2四死球。勝敗とはまったく無関係な継投に、閑散としたスタンドのファンの何割が「野手登板」に気が付いていたことか。

 試合後、マリナーズのサービス監督は、モッター起用の理由を説明した。

「(敵地での)あと2試合で何が起こるか分からない。試合は我々の手を離れていたし、救援陣を休ませることは、多くの利点があるはずだ」

 休養日を3日挟んだ開幕8戦目にして、救援陣の負担軽減、故障防止を優先させるほど、メジャー球界全体で「野手登板」は珍しくなくなった。

 一方的な展開となった試合で、野手が登板する傾向は、過去10年間で激増した。2005年に登板した野手はわずか1人で、'06年は0人だった。

 ところが、'09年に11人、14年に20人まで増え、'17年には35人を突破した。

イチローは最速89マイルをマークも。

 その背景として、20連戦などの過酷日程に加え、投手の役割分担が細分化されるなど、これまで以上に継投が頻繁になり、救援陣の負担が増加した事情も見逃せない。

 2015年10月4日。当時マーリンズのイチローも、メジャーで初めてマウンドに上がった。フィリーズ戦の8回裏に救援し、1回、18球を投げて2安打1失点無四球。愛工大名電高時代、エースとして甲子園出場を果たした実績もあるだけに、時速89マイル(約143キロ)の速球のほか、スライダー、スプリットチェンジを投げ分けた一方で、試合後は苦笑するばかりだった。

「二度とピッチャーの悪口は言わないって、誓いました。最低でも90(マイル)と思っていたので、ショックです」

 イチローの場合、公式戦最終戦でもあり、救援陣の休養目的ではなく、イチロー本人とファンに対する「サービス登板」の意味合いが濃かったものの、メジャー全体で野手登板が頻繁になっていたこともあり、その後、何の異論も聞こえてこなかった。

【次ページ】 青木の場合は完全に救援陣の負担軽減。

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