Number ExBACK NUMBER
大谷翔平のあの偉業をどう伝える?
Number初“二刀流表紙”ができるまで。
posted2018/04/12 11:30
text by
瀬尾泰信(Number編集部)Yasunobu Seo
photograph by
Sports Graphic Number
最近、早起きが苦でなくなった。
大げさにいえば、小学校のときの遠足前夜がずっと続いている、といった感じだろうか。朝からワクワクすることが待っている。そう。ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平、である。
メジャー初打席の初球を初安打。
メジャー初登板で、初勝利。球速160km。
ホーム開幕戦で初ホームラン。サイレントトリートメントからの、祝福おねだりジャンプ。
サイヤング賞投手からの2発目、完璧なあたりの137m弾と合わせて、3試合連続ホームラン。
そしてメジャー2度目の登板は7回被安打1、奪三振12の完璧なピッチング……。
日本球界からメジャーリーグへと舞台を移しても、大谷の投打二刀流は冴え渡り、連日の大活躍に日本のみならず全米も熱狂の渦のさなかにある。世界最高峰の舞台で躍動する23歳のプレーを、せっかくならば衛星生中継で見ようじゃないか。
さて、明日のプレイボール時間は? ──というわけだ。
「彼はマイナーリーグから始めるべきだ」
3月中旬、アリゾナ州テンピのディアブロ・スタジアムで行われていた、ロサンゼルス・エンゼルスのスプリングトレーニング。
試合前のアップ中、水原一平通訳のサポートを得ながら、同僚選手との会話に笑みを見せる大谷は、なんだかとても楽しそうに見えた。
だがしかし、その時点でオープン戦の成績は芳しいものではなかった。
打ってはゴロばかり、投げてもコントロールがおぼつかず、連打を浴び失点を繰り返していた。「投打両方の調整にはもう少し時間がかかる」「彼はマイナーリーグから始めるべきだ。恥じることはない」──メディアをはじめ、外野の声はなんとも不穏で辛辣な響きに満たされていた。
そんな中での笑顔は、「周りのことは全く気にしていない」と日々口にする大谷らしい、いつもの野球少年そのものの表情にも見えた。