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ヤクルト小川淳司監督とは何者か。
コーチ陣と選手に伝播する「執念」。 

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浜本卓也(日刊スポーツ)

浜本卓也(日刊スポーツ)Takuya Hamamoto

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photograph byKyodo News

posted2018/04/08 09:00

ヤクルト小川淳司監督とは何者か。コーチ陣と選手に伝播する「執念」。<Number Web> photograph by Kyodo News

'10年5月、高田繁の辞任により監督代行になると、翌'11年より監督就任。'14年に辞任後シニアディレクターを3年務め、今季より監督に復帰した。

96敗の昨季は躍動感を感じなかった。

 '15年から3年間、ヤクルトのシニアディレクターを務めた。長い四肢にスーツをまとい、チームをグラウンド外から俯瞰的に見る機会が増えた。故障者が続出して96敗を喫した昨年、神宮球場の関係者室から、バックネット裏上段の片隅から、屈辱的な光景を何度も見た。

 編成部門のトップとして責任を痛感しつつ、フェンスの向こうでプレーをする選手たちを本拠地のファンと一緒に眺めて、はじめて見えた“景色”があった。

「スタンドから見ている立場で言えば、躍動感がなかったと感じた。負けが込んでいたからそう見えたのかもしれないですけど『執念がないな、そういうのは見ている側には伝わるな』と。当たり前だけど、ファンがあってのプロ野球。みんな勝つために野球をやるのは、もちろんずっと変わらない。でも執念を持って必死にプレーをするのが、ファンの人たちが球場に足を運んでくれることにつながるんじゃないかな。外から見ていて、あらためて大事だと思ったんだよ」

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 執念を燃やせ――。温和な小川監督が心を鬼にした。2月の春季キャンプ。新任の宮本慎也ヘッドコーチに、広島から加わった石井琢朗打撃コーチと河田雄祐外野守備走塁コーチをはじめとした首脳陣で、選手に猛練習を課した。高校球児のように声を張り上げ、ユニホームを汚しながら、ボールを追いかけさせた。

実戦で勝ちにこだわるスタイルを貫いて。

 実戦では勝ちにこだわった。犠打やランエンドヒット、バスターエンドランなど小技も駆使し、貪欲に勝利を追い求めさせた。オープン戦は6勝6敗4分けの8位。

「こういう風に戦っていくというスタイルはオープン戦で出せた。シーズンに入ってこういう風にやっていくんだなって、選手も感じてくれていると思う。我々も考えを絞って勝ちにつなげていきたい」

 チームの温度が高まっている手応えを深め、2018年シーズンに臨んだ。

【次ページ】 山田哲人に盗塁をグリーンライト指示。

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