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日本一を知る西武・中村剛也の意地。
「本塁打狙い、変えるつもりはない」
posted2018/04/06 10:30
text by
市川忍Shinobu Ichikawa
photograph by
Kyodo News
6番、サード、中村剛也。
過去6度、ホームラン王に輝いた強打者の打順が、ライオンズ打線の充実ぶりを物語っている。
2018年シーズン、埼玉西武ライオンズは開幕戦としては球団史上最多となる15安打を記録し、勝利を挙げた。俊足巧打の秋山翔吾と源田壮亮の1、2番コンビでスタートし、3番、浅村栄斗、4番の山川穂高、5番・森友哉へとつながるクリーンアップは破壊力もある。相手投手は初回から、さぞや神経を使うことだろう。6番に座る中村の働きが鍵を握る場面も増えそうだ。
中村は2008年の日本一を知る数少ない現役選手である。
中村に前回優勝の記憶を尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「今シーズンが前回の優勝から10年? うん、でも特別な感情はないですよ。優勝は毎年、したいと思っているし、しようと思って開幕を迎えますからね」
「去年の成績……忘れたくはない」
選手にとってみれば毎年、優勝を目指すのは当然のことだ。
では、中村個人にとって今年はどんな意味を持つシーズンなのだろうか。2018年の自主トレーニング中に話を聞いた。
「去年の成績……忘れたくはないとは思っていますね。とにかく、うまくいかないことのほうが多かった。一昨年、成績的にも体調面でも厳しいシーズンで、特に右ひざの状態が最後の方はやばくて……。
痛くてプレーにも支障があったので、その年のオフは脚のケアをしたり、トレーニングをすることに力を入れたんですよ。その成果で、去年は、ひざの痛みは出なかった」
ひざの痛みを防ごうと、「筋肉トレーニングのせいで体に張りが出るのが、感覚的にあまり好きではない」(中村)と、これまでは敬遠していたウェートトレーニングにも積極的に取り組んだ。コンディショニングには成功し、2017年シーズンは体の不調から解放されたという。
「ただ去年は、シーズン中も、その“ひざの痛みが出ないように”という部分に神経を使い過ぎて、しっかりとした自分のスイングができなかった。右ひざは、バッティングでとても大事な部分。また痛みが出ることを恐れて、右脚に体重をかけることがおろそかになっていました。それがずっとシーズン終了まで続いてしまった気がします」