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『サウスポー』『狙いうち』は飽きた!?
甲子園がどよめいた近江の新応援とは。 

text by

梅津有希子

梅津有希子Yukiko Umetsu

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photograph byOHMI HIGH SCHOOL WIND ORCHESTRA

posted2018/04/02 17:00

『サウスポー』『狙いうち』は飽きた!?甲子園がどよめいた近江の新応援とは。<Number Web> photograph by OHMI HIGH SCHOOL WIND ORCHESTRA

ぎっしりと近江高校の生徒と関係者で埋まったスタンド。その斬新な応援は、今大会の注目度ナンバーワンとなった。

「抜群に鳴りがいい」という基本の5曲。

 通常、応援曲は8小節や16小節などの短いフレーズが多いため、わざわざ楽譜を買うケースは少ない。音楽教諭でもある樋口さんは、「抜群に鳴りがいい」という編曲のマーチング楽譜にこだわった。

 選んだ洋楽は以下の5曲。

1.『Bang Bang』(ジェシー・ジェイ/アリアナ・グランデ/ニッキー・ミナージュ)
2.『Happy』(ファレル・ウィリアムズ)
3.『Shake It Off』(テイラー・スウィフト)
4.『All I Do Is Win』(DJキャレド)
5.『Pretty Fly』(オフスプリング)

「選手1人に1曲」というよくあるスタイルではなく、全体応援は上記の基本5曲とし、途切れずに繰り返す。

 『Pretty Fly』は高松商業なども使用しているが、近江はより原曲に近いテンポで演奏することにこだわった。

コールや歌詞はすべて野球部に任せた。

 ランナーが二塁に進むと、チャンステーマの『Fireball』(ピットブル)が、三塁に進むと『近江マーチ』こと『アルプス一万尺』が流れる。「うちの伝統曲」と野球部が愛する同曲を残したのは、彼らに対する樋口さんの心遣いだ。

 そして、9回だけに演奏するのが、『The Final Countdown』(ヨーロッパ)。ヒットや得点時のファンファーレには、吹奏楽曲『Rocky Point Holiday』の冒頭部分を選んだ。

 樋口さんは、これらの曲目を野球部に提案。

 コールや歌詞は、すべて彼らにまかせた。今までの“よくある応援”から一変し、まったくの別物となったこの応援を、果たして彼らは受け入れてくれるのだろうか。

【次ページ】 代々受け継がれてきた応援を変えて良いのか?

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#近江高校

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