些細なことをやれば周囲が助けてくれる。

　人の行動をつかさどるのは脳である。

　脳に良い習慣を与えることで、選手も余計なストレスから解放され、その結果グラウンドでパフォーマンスをフルに発揮できる。清水が基本的な生活習慣を口にするのもそこに理由がある。

「野球には直接通じないよ、と言う人もいるかもしれないです。だけど、僕は通じると思っているし、だからこそ言っていきたいんです。いざマウンドに行ったとき、些細なことをしっかりやっていると、必ず周りに助けてくれる人が現れます。それが僕らにとっては有難い存在になってくるので。そこも日頃の積み重ねです。

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　苦しいときに助けてくれるのは仲間、先輩、チームだし、ひいては会社であるわけじゃないですか。だからこそ僕は大切なのは野球だけに限らないんじゃないかなって思うんです。

　楽をしようとしたらこの世界、いくらでも楽はできます。でも挨拶ひとつで楽をしだしたら、もっと他のことでも楽をしだすんじゃないかと思うんです。だからできることから、そうした精神を持つことがが自分を大きくしてくれる。僕はそう思っています」

　かつて幕張のエースとして活躍した清水の言葉は重い。

歩き方ひとつでも礼儀や礼節となる。

　清水自身、2002年に初めて2ケタ勝利を挙げたが、その翌年にスタッフから、あることを注意された。

　歩き方である。

「僕の中では昨年と何も変わらない歩き方をしているんです。でも、やっぱり2ケタを勝ったピッチャーとなると周りの見る目が変わる。僕もその年から一層、礼儀や礼節を気をつけるようになりました」

“実るほど頭を垂れる稲穂かな”ということわざがある。清水が酒居に伝えたいのはそういうことだ。もちろんこうした考えは酒居にも十分伝わっている。

「もちろんロッテのエースを目指すのであれば……という心がけだと僕は捉えています。注目度も高くなれば、人に見られる機会も増える。それは球場だけじゃなく、どこに行っても通用する挨拶や言葉遣いを身につけないといけないということだと。

　それをチームのキャプテンやエースがしっかりすることで、他のチームメイトにも良い影響を与えられる。そういうことじゃないかって」

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