フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
ザギトワの世界選手権不振の理由。
思春期ならでは、必然の悩みとは。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byISU/ISU via Getty Images
posted2018/04/01 11:30
世界選手権で、エテリ・コーチの胸で泣きじゃくるザギトワ。自分の身体の異変に、どこまで対応できるだろうか……。
13歳の少女が4回転を跳べたのにはわけがある。
彼女は2002年5月18日生まれで、今年の春で16歳になる。ISUのルールによると、オリンピック出場のためには前年の7月1日までに15歳になっていなくてはならないが、その条件を1カ月半の差でクリアしていた。
3月初頭の世界ジュニア選手権で、13歳のアレクサンドラ・トゥルソワが4回転を2度成功させたが、女子の場合は体が軽く少女体型であることが、ジャンプに有利であるとされている。
もうすぐ16歳になるザギトワに、身体の変化が訪れてそれがジャンプに影響を与えているのだろうか。
「お祝いにアイスクリームを食べた。でも1つだけ」
ザギトワは平昌オリンピックの女子のフリーの翌日、メインプレスセンターで行われたメダリスト会見で、お祝いはしたかと聞かれてこう答えた。
「これからも、自分に課した高いレベルを保っていくことは大事。でもお祝いにアイスクリームを食べました。でも1つだけです」
アイスクリームをたった1つ食べることが、オリンピック金メダルのお祝い――何か泣けてくるような話だが、彼女たちの食生活の厳しい節制は、冗談ごとではない。
このところ次から次と登場しては消えていく、ロシアの才能ある女子たちは、みんな思春期を迎えて身体の変化に対応できずに、トップ争いから消えていったのだ。
中でもユリア・リプニツカヤは、競技引退時に摂食障害に悩まされたことを告白している。